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インタビュー

第3次ブリティッシュ・インヴェイジョン……どころじゃない?

 USポップ界へのUK勢の侵攻、それは〈ブリティッシュ・インヴェイジョン〉と呼ばれ、一般的には60年代の第1次(ビートルズやストーンズなど)と、80年代の第2次(カルチャー・クラブなど)という2度の猛攻があったとされている。ならば、エイミー・ワインハウスがグラミーを制し、レオナ・ルイスやナターシャ・ベディングフィールドが全米チャートの上位に居座る現状は、ある意味〈第3次〉と言えるのかもしれない……が、話はもう少し複雑だ。兆候はジェイムス・モリソンやリリー・アレンの頃からあったが、それもこれも、長らくUSのポップ音楽を参照してきたUK勢が、US市場にフレッシュネスを吹き込むものへとようやく進化した結果の産物ではないか。それは、ニーヨやリアーナらUSアーバンの大物がヨーロッパ産のクラブ・ミュージックに接近している流行の背景でもあるし、USのクリエイター陣がこぞってヨーロッパ進出を企てる理由でもあるのだろう。また、ディジー・ラスカルやワイリー(アサイラムと契約!)らが大西洋を跨いでくるのと同時に、ナールズ・バークレーやマーク・ロンソン、サントゴールドのように先鋭的なUS勢がUKから逆輸入されるような状況も考え合わせるとシンクロしているはずだ。エステルの『Shine』は、そんな現況を象徴する作品でもあるのだ。
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カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2008年07月03日 20:00

ソース: 『bounce』 300号(2008/6/25)

文/狛犬