MONKEY
なぜサルなのか、なぜ中国なのか……デーモン・アルバーンがジェイミー・ヒューレットと始動させた新プロジェクトの全貌を、日本最速で独占レポート!
ゴリラズの新作と言っても過言じゃない
デーモン・アルバーン&ジェイミー・ヒューレットといえば説明するまでもなく、史上初のヴァーチャル・バンド=ゴリラズの首謀者である。2枚のアルバムを大ヒットさせる一方、既存の枠組みを無視した試みの数々で世間を騒がせてきたコンビが、ここにきてズバリ〈モンキー〉なる名義で新たなアルバム『Journey To The West』を送り出す。「ゴリラズのニュー・アルバムと言っても過言じゃない」とデーモンが位置づける本作は、3年前から進行していたオペラ「Mon-key:Journey To The West」のプロジェクトの一環でもあるので、まずはそちらから経緯を説明しよう。
パリにある名門・シャトレー歌劇場から「西遊記」に基づくオペラの製作を依頼された中国系アメリカ人監督、チェン・シゼンがデーモンとジェイミーに参加を打診したのは2005年のこと。翌年初めにはデーモンが音楽を、ジェイミーが衣装と舞台セットのデザインを担当する旨が正式に報じられた。16世紀に中国で書かれた小説のオペラ化に、彼らが興味を抱いたことを意外に感じるかもしれないが、実は2人とも子供の頃から「西遊記」のファン。きっかけは、海外でも広く放映された堺正章主演のTVドラマだったという。「日本製作ではあったけど、僕たちにとって初めて中国文化に接する機会だったんじゃないかな」とジェイミーは振り返る。そして、まずは5回に渡って中国に長期間滞在。
「恐らくあまり西洋人が旅行では行ったことがないような場所も訪れて、本当の中国を知る機会をもらったよ。それで徐々にステージのためのヴィジュアル言語というか、音楽言語のようなものを作り上げていったんだ」(デーモン)。
こうして得たインスピレーションをもとにチェン監督と完成させた「Monkey: Journey To The West」は、2007年6月にお披露目されて以来、シャトレー歌劇場やロンドンの王立オペラ劇場でも上演され、マスコミの絶賛を浴びるに至った。今回のアルバムは、そのオペラのために書いた曲をベースにした作品なのである。
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