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インタビュー

New Kids On The Block(2)

安売りはしたくなかった

「俺たちはもうキッズじゃなくて単なる野郎どもさ(笑)。これまでにもリユニオンに関するオファーはいろいろあったよ。でも、安売りはしたくなかった。今回の話が出てくるまでは皆で集まることもなかったよ」(ドニー・ウォールバーグ)。

「再結成にあたっては誰からの援助も求めに行かなかった。レーベルやマネージメントを探すよりも先に、集まってレコーディングを始めたんだ」(ジョーイ)。

 そう、彼らは初めから音楽ありきのグループだった。NKOTBは、ニュー・エディションを成功に導いた(とたんにメジャーにさらわれた)ボストンのプロデューサー=モーリス・スターが、それ以上のグループを生み出そうと思い立ったことに始まっている。当時15歳のブレイクダンサーだったドニー・ウォールバーグが地元のオーディションで見い出され、学校の友人らが徐々に集まる形で他のメンバーも決まっていったのである。コンセプトは〈白人版ニュー・エディション〉ということで、基本はジャクソン5以来の伝統的なバブルガム・ソウル~R&Bに根差し、ラップ好きだったドニーの趣味もあって当時のヒップホップ・サウンドを採り入れた結果、NKOTBの音楽性は定まった。その、ダンスとコーラスを持ち味にしながらメンバー個々がアイドル的な魅力を打ち出していくというグループの在り方は、90年代に入るとUKに渡ってテイク・ザットを生み出し、言うまでもなく90年代以降のポップ・ミュージック界を席巻していくことになる〈ボーイズ・バンド・ブーム〉へと繋がった。彼らはその先駆けだったのだ。

「初めての白人ボーイズ・グループだったとは思うし、バックストリート・ボーイズやインシンクの先駆者ではあるけど、ニュー・エディションは? その前のジャクソン5は? だから俺たちは決して新しくなんかなかったよ」(ジョーイ)。

 ともかく、ボーイズ・グループがすぐに燃え尽きてしまうという伝統を作った意味で、NKOTBは先駆者だったかもしれない。解散後の彼らは個々の活動に移行し、リード・シンガーだったジョーダン・ナイト、そしてジョーイとダニー・ウッドはしばしのブランクを経てソロ活動を開始。ジョーダンの兄であるジョナサン・ナイトは音楽界から引退。リーダー的存在のドニーは、弟のマーク・ウォールバーグ(NKOTBの最初期メンバーでもあった。マーキー・マークとしてラッパー・デビューしたことも)に倣って俳優業に進出し、ある程度の成功は収めている。そして今回の再結成はドニーの働きかけがきっかけになったのだという。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2008年10月02日 22:00

ソース: 『bounce』 303号(2008/9/25)

文/出嶌 孝次