インタビュー

New Kids On The Block(3)

俺たちのやり方

 NKOTBの新章は、アル・パチーノやロバート・デ・ニーロ、50セントらが出演する映画「ライチャス・キル」の準備期間中に受け取ったドニーがナズリーというソングライターのデモを、ジョーイとジョーダンに聴かせたことで動きはじめたのだった。かくして、多くのプロデューサーと接触しながら、水面下でレコーディングがスタート。エイコンにレッドワン、ハキーム・アブドゥルサマド、さらにはティンバランド、テディ・ライリー、ポロウ・ダ・ドン……彼らがソングライティングやプロデュースをメンバーたちと共に行うことで完成されたのがニュー・アルバムの『The Block』だ。同作はすでに全米チャートで初登場2位(1位はヤング・ジーズィ)を獲得しているが、シーンが何周か回ってボーイズ・バンドすら壊滅状態のシーンにおいては驚くべき結果ではないだろうか。ナズリーが曲を書き、ハキームがプロデュースした先行シングル“Summertime”をはじめ、ニーヨ自身の新作にも収録された幻想的なラヴソング“Single”、コンライヴ期待のレディ・ガガをフィーチャーした“Big Girl Now”、さらには先達のニュー・エディションを迎えた“Full Service”というサプライズも用意されている。

「いままでのNKOTBには確かにモーリス・スターの大きなバックアップがあったけど、今回は仕掛けられるんじゃなく、ようやく俺たちのやり方でアルバムを作れた気がするよ」(ドニー)。

「昔は友達同士だという事実にしがみついて、プロフェッショナルじゃなかった。ビジネスのことは全然考えていなかったしね。だから俺たちは失敗したグループと言われたのかもしれないけど……いまになってようやく俺たちの仲の良さがグループの良さを引き出してくれたと思うよ。本当に俺たちがやりたいと思った音楽をやれているからね」(ジョーイ)。

 ちょっと美しすぎるとも思うが、新しい章の最初のページにはこれぐらいの言葉が相応しいはずだ。

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掲載: 2008年10月02日 22:00

ソース: 『bounce』 303号(2008/9/25)

文/出嶌 孝次