傑作だらけのアルバムで辿る、ジョーの上昇の軌跡
『Everything』 Mercury(1993)
ハネたビートなどに90年代初期らしさを残した内容が現在のイメージとはかけ離れている初作。とはいえ、アーロン・ホールを手本にしたと思われるアツい歌い込みには、粗削りな若々しさと共に、その後のブレイクを予感させる輝きが確かにある。
『All That I Am』 Jive(1997)
一世一代の名曲“All The Things(Your Man Won't Do)”の大ヒットによってトップ・シンガーの名声を獲得、バラディアーとしてのスタイルも確立した記念碑的作品。その後の名パートナーとなるジョシュア・トンプソンとの出会いも大きい。
『My Name Is Joe』 Jive(2000)
人気のスロウ“I Wanna Know”で流石のバラディアーぶりを発揮するが、ミスティカルとのリミックス版がヒットした“Stutter”などの痛快なアップによって新たな魅力も加わった。ナズ&マライア・キャリーとの“Thank God I Found You”も収録。
『Better Days』 Jive(2002)
ジョーらしさが匂い立つ自作のバラードを織り込みつつも、キモになるのはマーヴィン・ゲイ風の歌唱をはじめとする進化/深化をめざすという試み。軽やかな耳触りながら、聴き込めばソウル・シンガーとしての深みを追求した一枚だということがわかる。
『And Then...』 Jive(2003)
レーベルメイトにしてライヴァルでもあるR・ケリーに制作を委ねた“More & More”をはじめ、外部プロデューサーを多く迎えて本人は歌に専念。歌バカぶりが見事にハマるメロウネスが横溢した内容だ。お返し共演となるGユニットとの“Ride Wit U”もヒット。
『Ain't Nothin' Like Me』 Jive(2007)
豪華絢爛な制作陣を招き、ストリート志向のトラックから得意のバラードまでどれも恐ろしく高品質。そんななかでも、ジョーの魅力を最大限に引き出す美しくも狂おしい世界観を作り上げたブライアン・マイケル・コックス製の“My Love”が白眉。