インタビュー

『In A Perfect World...』を完璧に楽しむための……(その1)

【EARLY DAYS】 アトランタをベースにまずはソングライターとして活動を開始したケリ。形として残らなかった苦闘は数多いと思われますが……2002年、プロとしてのソングライター・デビュー作として楽曲が採用されたのは以外にも日本の作品でした。それは自身もソングライター仕事で名を上げてきたmichicoの“Jump”。翌年にはCrystal Kayの“I'm not alone”もライティング。この時期にはトゥー・ショートの作品でバック・ヴォーカルを務めるなど、地元をベースに彼女の名は少しずつ広まりはじめていたようです。


michicoの2002年作『i do』(ソニー)

【TIMBALAND】 ケリを育てた大物プロデューサーのひとり。イグジビットにダンスホール調のシングル・ヒット“Hey Now(Mean Muggin)”を提供する際に、ケリをコーラスに起用したのが最初期の目立った顔合わせでした。合間にはオマリオン“Ice Box”などでソングライターとしてのケリを重用しつつ、自身のレーベル=モズリーに引き入れ、彼女を自身の関連作で優先的にフィーチャーしていくことに。その最大の成果こそ、ティンバ自身のリーダー作『Timbaland Presents Shock Value』(2007年)における猛プッシュで、“The Way I Are”や“Scream”といった特大ヒット・シングルで強い印象を残したケリは、PVでの見目麗しい姿も相まって一気に注目を集めていきます。なお、モズリーにはネリー・ファータドやワンリパブリック、クリス・コーネルらが在籍し、必ずしもアーバン路線に寄らない行き方にも積極的な様子。

【DANJA】 現代のUSアーバン~ポップ・シーンを牽引するプロデューサーのひとり。ティンバランドの丁稚的なポジションから一気にプロデューサーとしてジャンプアップし、『In A Perfect World...』では実質的なメイン格を担っています。また、ソングライターとしてのケリとも相当な好相性を見せていて、ダニティ・ケインの“Right Now”などの良曲が多し。そんななかでもベストな仕事はブリトニー“Gimme More”と“Break The Ice”。共にビートと歌が拮抗する素晴らしい出来でした。

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掲載: 2009年07月01日 18:00

ソース: 『bounce』 311号(2009/6/25)

文/出嶌孝次