アーバン界隈にソングライター主導の時代は続くのか?
エレクトリック・レッドのデビュー作『How To Be A Lady Volume 1』やライオネル・リッチーの『Just Go』が素晴らしい出来で、ソングライティングを担うドリームの才に改めて恐れ入るばかりだが(マライア・キャリーの新作も大幅に手掛けるようだ!)、ニーヨの手掛けたクリセット・ミシェルの新作『Epiphany』も黙っちゃいない。そのように両雄が突出しすぎた活躍を見せまくっていることもあって、逆に〈○○○を書いたあの才能がデビュー〉といった売り出し型でソングライターがアーティスト・デビューを果たす例はかなり減ってきた。最近だとライアン・レズリーがやっとアルバムを出したり(彼はどちらかといえばプロデューサーだが)という例もあるものの、もしかしたらケリは良いタイミングでシフトチェンジしたのではないか、とも思えてくる。ただ、一度デビューしてしまったら職業作家的な仕事を行わなくなってしまうためにそういう認識自体が薄いのだろうが、レディ・ガガにしろ、もう少し古い例として挙げればロビン・シックやミッシー・エリオットにしろ、ソングライターとして研鑽を積んだうえでデビューしてきた存在である。ともかく、現時点での期待としてはプレジャーPのアルバムでも活躍が見られたばかりのスタティック・メジャー(昨年急逝)、あるいは一度デビューして消えてから裏方として蘇ってきたノヴェルといったあたりの力作が待たれるところではある。