インタビュー

猿たちの進化を支えたジョシュ・オムとは?

 アークティック・モンキーズのニュー・アルバム『Humbug』において重要な鍵を握っているのが、共同プロデューサーに名を連ねたジョシュ・オムだ。伝説的ストーナー・バンドのカイアスで音楽キャリアをスタートさせ、その後クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジで広く知られることとなった彼は、QOTSA本隊の活動と並行して、さまざまなアーティストを招いたデザート・セッションズや、本気バカ・ロック・ユニットのイーグルス・オブ・デス・メタルなど、いくつものプロジェクトを通して作品を発表してきた。プリミティヴなロックンロール&USオルタナの砂埃にまみれたジョシュ・サウンドと、UKロック若手代表の邂逅は意外に思えるかもしれないが、猿たちはかねてからQOTSA好きを公言しており、ジョシュのほうも近年はデス・フロム・アバヴ1979やピーチズ、プライマル・スクリームなどタイプの異なるアーティストと積極的に絡んできたという経緯もあって、今回の顔合わせは案外素直に納得がいったりも。

 さて、完成した新作だ。圧倒的にタフに進化を遂げたサウンドの衝撃度は、前作収録曲“Brainstrom”を初めて聴いた時のインパクトを軽く上回る。単に低音を強調するのではなく、さまざまな形で〈ヘヴィーな音〉を追求してきたジョシュから、猿たちがまんまと美味しいところを頂戴した格好だが、ジョシュはジョシュでそんな彼らのことを大絶賛。この素晴らしいケミストリーなくして、バンドの転機となるだろう今作は生れ得なかったのではないだろうか?


デザート・セッションズの2003年作『The Desert Sessions Volume 9 & 10』(Ipecac)

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掲載: 2009年08月19日 18:00

ソース: 『bounce』 313号(2009/8/25)

文/粟野 竜二