インタビュー

クルーとしての強みを備えたSD JUNKSTAに続く軍団は?

 SD JUNKSTAが〈注目のクルー〉と評される大きな理由として、メンバーの個性が確立されていることがまず挙げられる。例えば、同じく強烈な個を擁して成功したNITRO MICROPHONE UNDERGROUNDは、デビュー当時から〈ウータン・クランのようだ〉と個性の塊たる軍団を比較対象にされていた。仲間でありライヴァルでもある相手がごく近しい距離に複数いることほど切磋琢磨するうえで好都合なことはなく、それこそがクルーの強みだろう。ただ、USヒップホップ・シーンでも特にソロ・マイカーの活躍が著しい昨今、クルー(もしくはグループ)として活動するアーティストには、スキルと同時に没個性化しないキャラ立ちも重要なファクターとして今後ますます求められていくことだろう。また、クルーのアイコン的な役割を担う人物=フロントマンがいることも重要なポイント。SD JUNKSTAではNORIKIYOやBRON-Kがそれに当たるが、他にも札幌のMIC JACK PRODUCTIONにおけるB.I.G. JOEや、同じく札幌のNORTH COAST BAD BOYZにおけるHOKTなどがそのいい例ではないか。ある意味かなり荷が重いポジションだが、クルーよりも軽いフットワークで動けるぶん、フロントマンの活動はサウンド・カラーも含めそのままイメージとしてクルー全体に波及していく。MSC、SCARS、韻踏合組合などシーンで注目されるクルーを思い浮かべると、必ずキャラ立ちしたメンバーとフロントマンがいる。そういった点を考慮すれば、福岡のSHITAKILI IXや東海のYOUNGEST IN CHARGEはアンダーレイテッドだと言えるし、クルーでの音源発表は未定ながら大本命たる京都のRUFFNECKあたりの動きには注目か。

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掲載: 2009年08月19日 18:00

ソース: 『bounce』 313号(2009/8/25)

文/吉橋 和宏