Riddim Saunter(4)

すべては日常があってこそ

――音だけじゃなく、物語にもループがあると。アルバム・タイトルの『Days Lead』は、〈日々は僕らの前を歩いている〉っていう邦題がついてるけど、どんな思いが込められてるんですか?

KEISHI「ファースト・アルバムのテーマが〈週末の夜〉で、セカンドが〈日曜日〉だったので、今回は週が明けての日常について書こうと思ったんです。あと、急に何かが起きることはないっていうことも言いたくて。すべては日常があってこそだと」

――日々の積み重ねで何かが起こるわけで、急にいいことが舞い込んでくるなんて話はそうそうないですよね。このアルバムにしても、これまでの作品があってこそ完成したってところもあるし。

KEISHI「突発的に変化したわけじゃなく、ファースト、セカンドって繋がりがあって出来たという思いが僕らのなかにもあるので、それが伝わってくれたら嬉しいですね。それと、聴く人の日常と共にあってほしいアルバムでもあるので、その人の生活に合った場所で聴いてほしいっていう思いもタイトルには込められてます」

――あと、今回ジャケットとCDを別売りにするということですが、そのきっかけは?

TAICHI「いまって、ダウンロードが多くなって、ジャケットやブックレットがないじゃないですか。でも僕らは、ジャケットの文化を残したいんです。そのためにはどうしようか、って考えた時に、別にしたらわかりやすいなって。音はCDとか配信とか、その人が聴きやすい形で手に入れてもらって、ジャケは別で買ってもらおうと」

――なるほど。ダウンロードで買った人でも、ジャケやブックレットが欲しい人はいるだろうし。

KEISHI「その分CDの値段も抑えてるし、誰も損しないんです（笑）」

TAICHI「このままいくとジャケの文化がなくなるじゃないですか。やっぱり、紙に染み込んだジャケットって、JPEGの画面だけでは伝わらないものがあると思うんですよ。歌詞を読んだり、クレジットで誰が何をやってるのかを見る楽しみは残したい。それをアーティスト側がやっていかないと……放っとくとヤバいなと思って、こんな面倒臭いことを実現できたのが奇跡みたいですが（笑）。まあ、僕らだけでやってるからギリギリできる話だけなんで（笑）。でも、大変だけどやる意味はあるかなって。店にどうやって置かれるのかとか考えると、楽しみじゃないですか」

――おもしろいアイデアですよ。それにしても、新作での成長ぶりは目を見張るものがあるなと。端から見てて、自分たちの音楽性を確立したなって思ったし。

TAICHI「実際、考え次第でどんな方向にも行けるじゃないですか。僕らはいろんな音楽が好きだけど、人とは違うものを作りたいって思いましたね。自分たちらしさに対するこだわりは、音、ジャケット、全部に出したつもりです」

――そこはしっかり作品から伝わってきますよ。あと、11月1日から全国ツアーもあるんですよね。

TAICHI「今回は、全会場をRiddim Saunter Orchestraで回るんです。アルバムを再現したいし、生のストリングスの素晴らしい音を届けたくて。このアルバムでは生にこだわってきたんで、そのけじめはライヴでつけないとなって」

KEISHI「5人じゃ表現しきれないところもあるからね。今回はライヴの本数がいつもより少ないけど、その分1回1回濃いものを見せられたらなと思ってます」

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