こんにちは、ゲスト

ショッピングカート

インタビュー

『Turn Me Loose』に着火した胸いっぱいのソウル

 今回のインタヴューでは「ジャジーなソウル、ロックなソウル、ファンキーなソウル、全部好きよ」と答えてもいたレディシ。その飽くなきソウル愛は別掲のディスクガイドに並ぶ作品からも感じ取れるが、バディ・マイルスの“Them Changes”にインスパイアされたという新作『Turn Me Loose』が照らし出すのは、オークランド育ちの彼女が自然に身につけてきたファンク~ロックン・ソウルの感覚だ。例えば、ラファエル・サディークとの“Please Stay”にはスライ&ザ・ファミリー・ストーン“Family Affair”みたいな雰囲気があるし、バディ・マイルスがいたジミ・ヘンドリックスのバンド・オブ・ジプシーズに通じるブルース・ロック的なノリも全編に感じられる。女性がワイルドに歌い上げるその姿は、ルーファス時代のチャカ・カーンやジャニス・ジョプリンのそれを思わせるかもしれない。また、ファイア・デプトによる粘着系ファンク“Knockin'”では、ソウライヴやレタスでも活動する彼ららしいミーターズへの憧憬も覗け、ニューオーリンズ生まれであるレディシのサザン・ルーツを抉り出したかのよう。〈変化〉を求めた彼女が、〈新しい時代〉を謳った70年前後の革新的な音楽に近づいたのは必然だったのだろう。

<

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2009年10月21日 18:00

ソース: 『bounce』 315号(2009/10/25)

文/林 剛