熱血集団を大ブレイクへと導いたさまざまな交流の輪
さまざまな方向から雪だるま式に人気を集めているゴーゴル・ボルデロだが、その名をより広い層に知らしめるきっかけになったのは、本文にもあるようにやはりマドンナだろう。2007年に行われた〈Live Earth〉での共演で脚光を浴び、翌年には彼女の初監督作品となる映画「ワンダーラスト」が公開。主演のユージンと劇中に登場するバンドの姿はさらなる注目を集めた。それ以前からユージンには「僕の大事なコレクション」(2005年)などで映画出演の経験もあったのだが、流石に女帝のお墨付きの威力は絶大で、一気にアイコニックなカルチャー・スターへと変貌していくことになる。
続いては新作『Trans-Continental Hustle』のプロデューサーであり、リリース元のアメリカンを運営するカルチャー・ヒーロー=リック・ルービン。いまやコロムビアのヘッドも務め、グラミーを獲ったディキシー・チックス仕事や最近のゴシップ、クリプスなど常に主流派に対してオルタナティヴであり続ける姿勢が格好良い。先立っても故ジョニー・キャッシュ(ユージンのお気に入りでもあるそう)の新作を送り出したばかりで、この縁はさらに別の旅路をバンドにもたらしてくれるのかもしれない。
さらに、ツアーに帯同したこともあるマヌー・チャオとの絆はDVD化されたばかりのドキュメンタリー「Non-Stop: A Gypsy Punk Documentary」でも確認できる通りだし、フェルミン・ムグルサやトニーニョ・カロトーネの近作にも揃って参戦していた。旧縁という意味では元ゴーゴルのオリ・カプランが立ち上げたバルカン・ビート・ボックスも忘れちゃいけないし、同じNYのジェルバ・ブエナ、移民ミクスチャー軍団という意味で共通するエイジアン・ダブ・ファウンデーションなど、音盤上に刻まれた共闘も増えている。こうして彼らはどんどん大陸を跨いでハッスルしていくのだ。
▼関連盤を紹介。
左から、ユージン主演映画のDVD「ワンダーラスト」(CCRE)、ゴシップの2009年作『Music For Men』(Columbia)、ジョニー・キャッシュの2010年作『American VI』(American)、マヌー・チャオのライヴ盤『Baionarena』(Radio Bemba/Because)、フェルミン・ムグルサの2009年作『Asthmatic Lion Sound Systema』(Talka)、トニーニョ・カロトーネの2009年作『Ciao Mortali!』(Nacional)、ジェルバ・ブエナのベスト盤『Follow Me』(Wrasse)、エイジアン・ダブ・ファウンデーションの2008年作『Punkara』(Naive)
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掲載: 2010年06月16日 21:50
更新: 2010年06月16日 21:53
ソース: bounce 320号 (2010年4月25日発行)
文/ハヌマーン