INTERVIEW(4)――曲がどんどん大きくなってきている
曲がどんどん大きくなってきている
――ルーツという言葉が出てきたところで、各々の音楽的背景について少し具体的に訊いてみたいんですが。
彩雨「僕の場合はキーボードということもあって、メタルはもちろん背景にありますけど、実はゲーム音楽とか小室哲哉さんの音楽とかから始まってたりする部分があるんですね。だからストリングスの音色ばかりじゃなく、いわゆるシンセサイザーの打ち込みサウンド的なものも取り入れたりとか。そういったところに自分の持ち味みたいなものがあるんじゃないかと思ってます。キーボードだけでオケを作ってるボーナス・トラックの“Designer Baby”とかは、やっぱり特に自分の色が出てるんじゃないかと思うし」
Anzi「僕の場合、ルーツのいちばん大きな部分というのをイングヴェイ・マルムスティーンが占めてますね。8割以上そうかもしれない。ハード・ロックやヘヴィー・メタルへの取っ掛かりになったのはアイアン・メイデンなんですけど、ここまでギターにのめり込ませてくれたのは彼です。実は昔からヴァイオリンを習っていたこともあって、クラシック音楽の旋律にはすごく自然に馴染んでたんですよ。中学時代にそれを辞めてからしばらく音楽に興味を持ってなかったんですけど、あるとき〈ネオクラシカル・ミュージック〉というタタキ文句に惹かれてイングヴェイのアルバムをジャケ買いしてしまって。それが『Alchemy』だったんですけど、まさに当時の自分にとっては未知のものでしたね。そこから完全にのめり込んでしまって」
苑「僕の場合、ルーツはX-JAPANとB’z、それからハロウィンですね。よく言われるんですけど、僕のヴィブラートは稲葉(浩志)さんとマイケル・キスクからきてるんじゃないかと思います」
――ええ、すごく納得できます。
苑「姉がよくB’zを聴いていて、僕も10歳の頃から聴くようになって。しかも父親からはディープ・パープルを注入されて」
Anzi「あり得ない家庭ですよね(笑)」
――素晴らしいじゃないですか(笑)。でも、今回のような話を聞いていると、このバンドの音楽が何の典型にも陥っていない理由の一端が見えてきたような気がします。そして、最後に。今後求めていきたい摩天楼オペラの理想というと、どんなものなんでしょうか?
Anzi「具体的なゴールはないんですけど、やっぱり僕らに憧れてバンドを始める人たちがいっぱい出てくることが最大の喜びに繋がるはずだと思っていて。最終的には音楽を次の時代に繋げていくような存在になりたいし、ずっと名前を残しながら語り継がれていくようなバンドになれたら最高ですね」
彩雨「僕もそこは同感です。あとは日常生活のなかで摩天楼オペラの音楽を聴いて、ポジティヴな気持ちになってもらえたら嬉しいですね。質感としては暗い曲のほうが多いですけど、聴いていて昂揚する部分というのは間違いなくあるはずだし」
苑「うん。同時にうちの曲って、どんどん大きくなってきてる気がするんですよ。実際、作っていてそう感じるんです。その成長にまだ自分たち自身が追いつけてない気がするんですね。いまの自分たちはまだ、ライヴハウスで演奏しながら、そこがもっと大きな空間であるかのような錯覚を味わわせるところまでしかできてない。だからそれを現実にできるように、早く自分たちの曲に追いつきたいですね」