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インタビュー

INTERVIEW(4)――CDを買ってくれるような音楽を作ればいい



CDを買ってくれるような音楽を作ればいい



ーーさっき名前の出たきのこ帝国をいち早くオープニングに起用したり、自主企画ではPredawnを呼んだりもしていますが、若い良質なミュージシャンをフックアップしていきたいという意識もあるのでしょうか?

「フックアップとは思っていなくて、きのこ帝国を僕は尊敬してるんです。年齢なんかは関係なく、andymoriもOGRE YOU ASSHOLEも尊敬してる。彼らの音楽が好きだからっていう、それだけなんですよね。バンドで上下関係とかくだらないじゃないですか?  いちリスナーでありたいと思ってるし、そこがブレちゃったら僕は終わっちゃうんじゃないかと思ってるんで」

ーーただ、killing Boyに関しては、レーベル経営者としての側面もありますよね。自主レーベルで出してみて、その手応えはいかがでしたか?

「宣伝費が全然なかったから、〈SNOOZER〉は直に編集部へ頼みに行って載せてもらったりしたんですけど、実は思ってたよりめちゃくちゃ売れたんですね。すげえ宣伝費かけたアルバムより売れて、それをどこで発表していいかわからないんで押し黙ってるんですけど(笑)」

ーーメジャーの宣伝力の意味合いが問われる話ですね。

「僕はまったく比例しないと思ってますね。もちろん、すっげえデカいアーティストは別ですよ。L'Arc~en~CielとかYUKIちゃんとかね。Mr.Childrenもやっぱりすごいなと思いますし。ただ、僕らはそういうバンドじゃないんで」

ーーそれって単純にびっくりもするし、ある種希望でもあったりしますよね。

「そんな大金持ちにはならないですけどね(笑)」

ーーでも、少なくともファーストを出して、セールス的に〈これは無理だ〉っていうことにはならなかったわけですよね。

「そうですね。次の作品も録れるなって感じですね」

ーーよく言われるように、いまの時代は自分の活動を自分でコントロールできて、やっとミュージシャンと呼べる。

「それって何年も前から言われてた話で、それに対する準備を僕らはしてきたんで、〈いまさら何を言ってるんだ?〉って思っちゃったりしますね。僕はYouTubeで聴いたりすることはまったく悪いとは思ってなくて、ただそれで聴いた人がCDを買ってくれるような音楽を作ればいいじゃんって思います。映画業界も厳しいって言いますけど、ちゃんと堪能できますから。音楽ファンが堪能できない、買わないっていうのは心が痛みますけどね」



ミスチル宣言!?



ーーすごく基本的であたりまえのことではあるけど、まずはいいものを作るっていうのが大前提にあって、それは変わらないと。

「そうですよね。あとは、〈メジャーってそんなに人が必要なの?〉とか思ったり」

ーー適正な規模であればいいってことですよね。それこそ、ミスチルの規模だったら、ある程度の人数は必要だろうし。

「言っちゃえば、僕らもミスチルにはなりたいですよ。だから……〈ミスチル宣言〉っていうのを、いつか宣言したいなって(笑)」

ーー木下理樹、ミスチル宣言!

「してもいいですか?」

ーーびっくりしますけどね(笑)。

「〈なれねえよ!〉っていろんなところから叩かれるんでしょうけど(笑)。でも、音楽業界は厳しい、なんてホント何年も前から言われてることだったから、そこは〈準備しようよ〉とは思うかな。そこに関してメジャーのレコード会社に同情しようとはいっさい思いませんね。愛情を持ってやってる人たちはちゃんと生き残ってるし、僕らもレコード会社いくつも変わってますけど、いい音楽をやってれば見てくれる人はいるので。食うためだけにやりたいんだったら、やらないほうがいいと思いますね」

ーーまさに、その言葉をいま木下さんは体現してますよね。

「だって、そうじゃなかったらわざわざシカゴまで行かないじゃないですか? 他の何かを削ってでも、〈行かせてください〉って言ったのは、音楽への愛情でしかないですよ」


カテゴリ : .com FLASH!

掲載: 2012年06月06日 18:00

更新: 2012年06月06日 18:00

インタヴュー・文/金子厚武