英国の大御所ケニー・ホィーラーとノーマ・ウィンストンの共演アルバム

　英国の最重要ミュージシャンである御大ケニー・ホィーラーと、ヴォーカリスト＝ノーマ・ウィンストン、ロンドン・ヴォーカル・プロジェクトによる壮大な共演作。

　キャロルの“ハンプティ・ダンプティ”ではコーラスのつなぎ役をテナー・サックスが担って進行。『鏡の国のアリス』に登場するユニークなキャラクターの名前で落着するアイデアもいい。
　イェイツの“ザ・ラヴァー・モーンズ”ではソプラノとピアノを皮切りに、ウィンストンがメイン・ヴォーカルをとり、ロンドン・ヴォーカル・プロジェクトもバック・コーラスにとどまらない配役を演じる。ホィーラーの出番が控え目なのは、楽曲に必要な音が何なのかを熟慮した判断なのだろう。
　スミスの“ブラック・マーチ”では逆にロンドン・ヴォーカル・プロジェクトのスキャットとホィーラーによるフリューゲルホーンの長いユニゾンをフィーチャーし、ホィーラーのソロへと発展させる。
　バンド・メンバーでは“デスリー・チャイルド”でニッキ・アイルズ(p)が好演。

　収録曲にはないアルバム名の『ミラーズ』とは、様々な対照や反映が盛り込まれている要素の象徴ではないだろうか。進化をし続ける82歳のホィーラーがここにいる。(杉田宏樹／輸入盤：国内流津仕様のライナーより抜粋)

【パーソネル】
KENNY WHEELER flugelhorn
NORMA WINSTONE vocals
LONDON VOCAL PROJECT directed by Pete Churchill
NIKKI ILES piano
MARK LOCKHEART saxophones
STEVE WATTS double bass
JAMES MADDREN drums

【収録曲】
01 Humpty Dumpty 5.23
02 the Broken Heart 3.58
03 the Lover Mourns 5.36
04 Black March 7.48
05 Through the Looking Glass 8.59
06 The Hat 3.59
07 Breughel 5.57
08 Tweedledum 8.37
09 the Bereaved Swan 6.16
10 the Deathly Child 8.42
11 My Soul 4.22