インタビュー

Warren G

ロングビーチ流儀のオリGナル・ファンク・マスターがアグレッシヴな新作をリリース! 『The Return Of The Regulator』には、ウォーレンGの変わりゆくものと変わらないものが、あますところなく表現されている!!

 なにが(リアルなヒップホップ)で、なにがそうでないのかという話が日本でもかまびすしくされていた時期がありまして。まあ、大昔の話です。そこで〈ヒップホップとは呼べない〉とかいろいろ叩かれていた筆頭が、ウォーレンGでした。というのも、彼の基盤である西海岸はヒップホップの後進地であるうえに、ウォーレンの音楽はその中でもとびきり甘くユルく、ムーディーなイージーリスニング音楽だったからです。それが、ビッグ・セールスを上げるメインストリームの作品をバブルガム呼ばわりしてみたり、NY至上主義だったりした、盆暗なメディアや偏狭な評論家には許せないものだったようで。彼らの守りたいヒップホップは、もっとストリートのもので、もっとインテリジェントで、もっと〈わかるヤツにしかわからない〉ものでなければいけなかったのでしょうかね。

まあ、ウォーレンは「イージーリスニングだよ。ヒップホップだけどね」とか自信満々に語ってましたが。とにかく、ヒップホップ・ミュージックというものがどんどん多様化を進めていくなか、アーティストやリスナーの志向/嗜好がそれぞれに分かれていくのはもちろんだけど、その分類は音楽の質にはなんら関係ない! ……のに、結局はほとんど好き嫌いの話しかされなかったわけです。日本のヒップホップがどんどんおもしろくなってどんどん広がっていっている最大の原因も、いろんなアーティストが出てきたから、だと思うんですけどね。

でも、繰り返しますが、それは昔の話。いまそんなことを言う人はいません(いるけど)。リスナーたちの耳は自由闊達にピンピン立ちまくって、ウェストコースト・ ヒップホップが2000年代最初のビッグ・ウェイヴになったわけです。そして、その波に乗って、件のウォーレンGもニュー・アルバムを完成させました。いや、波に乗ったという表現は妥当ではありません。西モノに逆風がもっとも吹いていた99年にリリースされ、いまの大爆発に至る流れを生み出した転換点の一枚が、やはりウォーレンの『I Want It All』だったわけですから。そして、新作のタイトルは『The Return Of The Regulator』。彼のデビュー曲“Regulate”の素晴らしさを知る人ならそれだけでゾクゾクきてしまいますよ、もう。

 で、このインタヴューですが、彼は非常に〈リラックス〉しまくってヘロヘロだったそうで、回答はいずれもごくごくシンプル。それもまた、彼らしいんですけど。で 、まずタイトルの意味はどうなのよ、Gさん!?

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2002年05月23日 22:00

更新: 2003年03月03日 22:45

ソース: 『bounce』 227号(2001/11/25)

文/轟 ひろみ