インタビュー

4hero(2)

サウンドの鍵を握る〈声〉の存在

 “Les Fleur”のカリーナ・アンダーソンをはじめ、今回も女性シンガーたちが4ヒーロー・サウンドのカギを握っている。まずはフィリー・コネクションから ジル・スコット。

 「声が素晴らしい。彼女は、世の中のもっともシンプルなテーマでも物語 にしてしまう。歌詞カードで読んでピンとこなくても、彼女の歌を聴くと妙に 説得されてしまう。そこがいいね」。

 『Two Pages』で“Escape That”などを歌っていたフェイス同様、前作に引き 続き参加のアーシュラ・ラッカー。彼女もフィラデルフィア人脈だ。9月に リリースされた彼女のファースト・アルバム『Supa Sista』では、4ヒーローも2曲をサポートしている。デュマスと交互にDJプレイしたパーティーの翌日には 彼女がライヴと、先日のリキッドルームでは同じ週末を楽しませてくれた。

 「僕らとは違う角度から音楽をとらえているところが、彼女の魅力かな。歌詞 を読めばいろいろ考えさせられるし、頭を使わせられるところが好きだね。 一筋縄ではいかないような」。

 “Hold It Down”で軽快な歌声を聴かせるレディー・アルマも、 キング・ブリットらとの共演歴のあるフィリー人脈。ディーゴの友人=I G・カルチャーの側近シンガー、ベンベ・セグエも参加している。2人で彼女の 曲を共同プロデュースしたこともあり、日ごろウェスト・ロンドン周辺を注視 している人ならお馴染みに違いないアーティストだ。また、「ポルトガル語の響 きがスゴく好きだから」と、スムースな“Unique”でパトリシア・マークスを ブラジルから迎えている。そして、アルバムの半分弱はヴォーカルレスの曲だ。 今回もトラックはエレクトロニックとアコースティックの融合、その可能性を 見出そうとしている。〈Two The Same〉という意味の“Twothesme”という曲 では、前半でドラム・マシーンが担ったパートを後半はドラマーが叩き、前半の シンセ・パートを後半はブラスで再現するといった具合に。

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掲載: 2002年05月30日 17:00

更新: 2003年03月03日 22:03

ソース: 『bounce』 226号(2001/10/25)

文/栗原 聰