『Creating Patterns』を貫く、静謐で熱いもの
4ヒーロー~ディーゴ周辺の動きでここしばらく話題となっていたのはやはり2000ブラックでの動きであり、ウェスト・ロンドン系という括りでIG・カルチャーやドミューなどとともに取り上げられ、シルク130=キング・ブリット周辺との交流も話題になっていたものだが、その中でも4ヒーローがとりわけ純度の高いソウル・ミュージックを志向していくだろうことはあらかじめ予想されたことだった。
となると、『Two Pages』と前後して手掛けたニューヨリカン・ソウル“I Am The Black Gold Of The Sun”の甘美なドラムンベース仕立ても思い出される。が、ミニー・リパートンの“Les Fleur”を取り上げ、手段こそ違えどそれぞれのソウルを追求し続ける面々――アーシュラ・ラッカー、ジル・スコット、テリー・キャリアーら――を新作に迎えた意味は大きい。
その集合体から生まれる音像は、微細な縛りからも解放されきった、大らかで静謐な流れすら感じさせる音楽だ。それを成熟ととるか退行と見なすのかは各々に委ねるべきだろうが、少なくともこれがソウル・ミュージックの現在地であることは疑いない。
シルク130『Re-Members Only』(Ovum/Six Degrees)
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掲載: 2002年05月30日 17:00
更新: 2003年03月03日 22:03
ソース: 『bounce』 226号(2001/10/25)
文/峰川 彩子