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インタビュー

ハイブリッドな音楽的背景を持つバンド、パール・ジャム


そもそもパール・ジャムの原点はストーン・ゴッサードが制作した1本のデモテープにある。それが90年当時サンディエゴに住んでいたエディの手に渡り、強くインスパイアされた彼は歌を吹き込んでシアトルに返送し、最終的にデビュー・アルバム『Ten』の青写真ともなった。以後初期の活動においてはこの二者が音作りを主導することに。基本的にメンバーは皆、60~70年代ロックからパンク/ニューウェイヴまで、世代的に通過しているだろう音楽はひととおり消化済みで、ニール・ヤングやローリング・ストーンズを接点に持つ。が、シアトル出身のストーンは地元のパンク・シーンに刺激されてギターを弾きはじめながらも、フェイヴァリットに挙げるのはエアロスミスやストゥージズ、ブラック・サバスなどなど。一方、複雑な家庭環境で音楽を救いとして育ったエディは、アンチ・ヒロイズムを掲げるザ・フーやラモーンズを崇め、フガジのイアン・マッケイらの高潔な活動姿勢をお手本にしている。そんなふたりからパール・ジャムの音楽性を突き詰めると、やはり70年代ハードロック=ストーンとパンク/ガレージ=エディのミクスチャー、とするのが妥当だろう。つまり過去を否定するニヒリストではなく、反骨精神も忘れぬトラディショナリスト、かな? また12年前、バンドの仲間を亡くして喪失感を抱えていたストーンとジェフの心に見ず知らずのエディの真摯な歌が触れたからこそ、いまの彼らがある。エモーショナルな雄弁さも重要なルーツなのだ。

文中に登場するアーティストの代表作を一部紹介

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2002年11月28日 12:00

更新: 2003年02月07日 15:14

ソース: 『bounce』 238号(2002/11/25)

文/新谷 洋子

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