インタビュー

OutKast

予想もできないスリルとグルーヴはまるでジェットコースター!! メロウでロマンティックな観覧車!! アウトキャストのコズミック・ソウルはもはやすべてを突き抜けた!!

いままでの俺たちを乗り越えた


 アウトキャスト。〈追放者〉とか〈はみ出し者〉とかそういう意味だったと思うけど、彼らもいまや時代のド真ん中だ。シーンにはそのフォロワーが溢れ返っている。異端児もいつの間にかヒップな存在のようだ。べつに悪いことじゃない。

 でも、彼らはすぐに逃げる。もっと先へ行く。“Rosa Parks”から“B.O.B.”“Ms. Jackson”へ、“The Whole World”から“Land Of A Million Drums”(これが曲名の羅列にしか見えない人は、いますぐ聴いて!)へ……。

「もともと名前のとおり、他の奴らと同じことをやるのは嫌いなんだ。リスクがあってもいい、人のマネをするんじゃなくて、自分たちがリーダーになって新しいことをやっていきたい。世の中の動きに合わせるんじゃなく、自分たちに周りが合わせるように仕向ける気持ちでやってるよ」(ビッグ・ボーイ)。

 そうは言っても、久々に届けられたニュー・シングル“Ghettomusick”のブッチギリ感はどうよ!! ここしばらくの、どんどんどんどんどんどんどんどん加速を続ける彼らのハイパーなメーターが振り切れた感すらある。ジュリアナ?と耳を疑うような下品なシンセがブーティー・ベースと合体したような超高速デス・エレクトロ……と思いきやパティ・ラベル“Love, Need & Want You”(ネリー“Dile-mma”のネタとしてもお馴染み)がそのままコラージュされてたり……とワケわからんが何か最高!

「“B.O.B.”っぽい響きがあるだろ。これって実は『Stankonia』に収録して、“B.O.B.”より先にシングルで出すはずだったんだ。ヴァイブは似てるけど、こっちのほうがアーバンでストリートっぽいと思うよ」(アンドレ3000)。

「“B.O.B.”と同じくドレ(アンドレ3000)がプロデュースしたハイ・エナジーな曲だ。凄いトラックだよ。ドレはジーニアスだ。この他にも、まだ発表していないクレイジーなトラックがいっぱいある。早く発表したくてたまらないよ。今回はドレが30~40曲、俺も同じだけ用意した。俺たちの本当のパーソナリティーを発揮するチャンスに恵まれたね」(ボーイ)。

 そう、ボーイのいう〈今回〉とは、彼らの5作目となる2枚組のニュー・アルバム『Speakerboxxx/The Love Below』。

「もともと、ふたりのソロ・アルバムを別々に出そうっていう話があったんだけど、それをいっしょにしてアウトキャストのダブル・アルバムということにした。俺の場合はもともとサントラ用にアルバムを作る予定だったんだ。俺サイドは俺が全曲プロデュースしていて、〈Love〉がテーマ。バラードも多いし、俺としてはいままでとは違う音楽をやっているから、これまでのアウトキャストとはちょっと違う。ビッグ・ボーイのアルバムは従来のアウトキャストっぽい音楽が楽しめるはずだ。ボーイもプロデュースしてるんだぜ。凄くカッコいいんだ」(アンドレ)。

「〈知られざるアウトキャスト〉っていうか、いままでにない高度なアルバムになってるよ。サウンド的にもリリック的にも、いままでの俺たちを乗り越えた新境地に達した作品ってとこかな」(ボーイ)。

▼〈Speakerboxxx〉に参加したアーティストの作品を一部紹介。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2003年10月09日 18:00

更新: 2003年10月30日 13:51

ソース: 『bounce』 247号(2003/9/25)

文/出嶌 孝次