インタビュー

ネリー・ファータドが持つ世界規模の平衡感覚

 多彩な音楽的背景を持つネリー・ファータドが誇るミュージック・ネットワーク、それは2000年にデビューし、アルバム2タイトルをリリースしたばかりという者にとってはあまりにも広大だ。ベックやU2やTLC、ニュー・エディション……からの影響とは本人の語るところだが、ここではU2に注目。それぞれが他国からのアメリカ制覇組であり、一度ならずもアメリカン・ルーツ・ミュージックに接近を図っていることが共通点。彼女の存在を世に知らしめることになったデビュー作『Whoa, Nelly!』は、ヒップホップ勢をも引き寄せている。2001年には映画「トゥームレイダー」のサントラに収録される“Get Ur Freak On”でミッシー・エリオットと共演。ルーツの最新作『Phrenology』収録の“Sacrifice”へのヴォーカル参加をきっかけに、ジル・スコットやコーディ・チェスナットらフィラデルフィア人脈とも合流を果たしている。そして、最新作『Folklore』には、同郷の元フィロソファー・キングス、現在はソロとして活躍中のジャーヴィス・チャーチもヴォーカルで参加。彼女のアイドルであるカエターノ・ヴェローゾ参加曲と同列で聴かせるあたりに、独自の編集感覚が見て取れる。それは欧米先導ではない、世界規模のフラットな価値観を体現するものであり、ただ広大なだけのネットワークではないのだ。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2004年01月22日 13:00

更新: 2004年01月22日 17:48

ソース: 『bounce』 250号(2003/12/25)

文/武山 英丈

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