TOKONA-X vs Equal(2)
東京に出てきてやるつもりはない
――今回TOKONAはパーソナルな内容のリリックが多いよね。
T「ソロだし、売り物は俺になるわけだから。何がウリか、っていったら8倍速まで巻き戻しみたいな。そういう、いい所を。〈ジャパネットたかた〉ですね、僕のアルバムは(笑)」
――よくわからんよ(笑)。一方のEQUALはゲストが多いよね。
E「トラックに合ったイメージの人間が浮かんで、その人といっしょに作業する、ってのが好きなんですよ。BALLERSのみんなに参加してもらって、周りもいっしょにデカくなれば後々やりやすいかなと思って」
T「正直な話、東京に出てきてやるつもりはないから。全部周りだけでできるようになればいいと思うし。プロモ・クリップの制作をMR.OZ(PHOBIA OF THUG)に頼んだのもそうだし」
E「将来設計に基づいて」
T「そうそう。イイ話があったら、ゼニがあるうちにみんなにいろんなことを覚えさせないと」
――リリックに英語を多用するけど、そのへんは意識的な部分もあるの?
E「韻は楽ですよ。名古屋って昔からそういう感じが多いよね。韻が踏みやすいから使うくらいのノリだよな?」
T「それもあるし。〈日本語でやらないと魂が~〉みたいなこというヘンなヤツいるじゃん? テメエの問題だろ、って感じ(笑)。フックはヴァースのオマケだと捉えてて、フックはそれなりに盛り上がれないかんと思うし、踊れないかんと思うし、スムーズに流れなあかんと思うから、まとめる時に英語でやったら楽かな、ってのはあるかもね」
――始めた時と意識的な変化とかはある?
E「いまのほうが一所懸命書いてる。前は〈ライヴで吐き捨てた言葉。以上〉みたいな感じだったけど、いまは考えて書いてます。こう思って聴くかな、とか、そう思うヤツはそう思えばいいがや、とか」
T「(なぜか小声で)俺、考えない」
――EQUALが言ったことは、エンターテイメントという部分も意識してということ?
E「エンターテイメントは全曲に関してそういうテイストは入れたいので」
T「僕の場合は、自分を主人公にしてるアルバムじゃん? そのストーリー然り、遊び方然り、みたいな部分で想像してるだろうし。それがエンターテイメントとこじつけてる」
――普段のTOKONA-Xの振る舞いや歩き方さえもわかるような曲もあると思うんだけど、それがすごくエンターテインメントとして昇華されてると思うんだよね。EQUALは軽快な感じだよね。サクサク出来た、みたいな。
E「ラフでここまで行けるぞ、みたいなのがやりたかったですね。トラック作ってジャケ作って特典映像まで作って、全部自分でやってるんですけど、そこまで全部自分でアルバムってできるんだな、ってのが見せたかった。それくらいラフなスタイルでヒップホップって出来ちゃうんだな、って。ホントは真面目に一所懸命やってるんですけどね(笑)」
――今回、リリースが近い時期に重なって、内容的にもメジャーとアンダーグラウンドの良いバランスになったんじゃないかな、って思うんだけど。
E「僕もそれは思う。あとはAKIRAが出れば、M.O.S.A.D.の色が出る」
T「AKIRAはきっと、もっと女の子ウケするような作品をね」
――DJ FIXERは?
E「FIXERは……犬ウケするような(爆笑)」
T「愛犬家に向けてのトラックを(笑)」
E「今年(ソロの)2枚目やるの?」
T「来年かもしれないけど、2枚目はとりあえず作って自分らでやりたい」
――ツアーもあるんでしょ?
T「ああ、あるみたいですね」
――他人事だな(笑)。
T「〈無〉でいかないと(笑)」
――そういう意味では、ソロの時もM.O.S.A.D.の時も別に変わってなさそうだなあ(笑)。
T「うん、なんだかんだいろいろ(取材で)訊かれて何か言ってみるけど、振り返ってみるとそんなにやってるか?って感じ、自分で(笑)」
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カテゴリ : インタビューファイル
掲載: 2004年03月11日 13:00
更新: 2004年03月16日 19:39
ソース: 『bounce』 251号(2004/2/25)
文/高橋 荒太郎