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インタビュー

サンボマスター(3)

世界が少しでも変わればいい

 突発的に生まれ瞬く間に過ぎ去ってしまう強い衝動──誰にでも心当たりはあるだろう。しかし、サンボマスターはそれを形にする責務を、幸か不幸か負っているのであって、その衝動を爆音で表現しえたのが、いまだにシンパを生み続けている2003年のファースト・アルバム『新しき日本語ロックの道と光』なのだ。そして2005年初頭。衝動はそのままに、新たなアウトプットの手法を確立したセカンド・アルバム『サンボマスターは君に語りかける』を、世に問おうとしている。

「今回は、前回と違うように作ろうと思ったんですよ。それは録音技術どうこうじゃなくて。前作を出したときは、僕をわかっている人と、僕をこれからわかるであろう少しの人が、僕と分かち合えればいい、と思ってたんですよ。でもこの1年で状況が激変して、僕らのことをすごく深いところで求めてくれる人が激増して。僕らはそういう人に求められることを、ありがたいと思うようになったんですよね。そういう人のために僕らは作んなきゃいけない、それで世界が少しでも変わればいい……と思って作ったんです」(山口)。

 思うは易し。想像妊娠じゃあるまいし。形という結果をもたらさねば何の意味もない。

「爆音で繋がる時代は終わったって思ってる。ライヴは相変わらず爆音なんですけど(笑)。アルバムを爆音でやるっていう方法論は、今回はイヤだなって思ったんです。世界は、ファーストを出した時より複雑になってるから、僕らはもっとふくよかなリズムで、その複雑さに対応しなくちゃいけない、と生意気なことを思ったんですよね。
アコースティック・ギターを入れてリズムをふくよかにしたかったし、それによってロックのドライヴ感を出したかったし……それによって凶暴になることっていっぱいあるんですよね。ブラスを入れることによって、凶暴にもなったり、昔の思い出も忘れたくなる……そういうことっていっぱいあるんですよ」(山口)。

 もし貴方が、サンボマスターに対して、単なる爆音バンド、あるいは知らねえ、と
いう程度の認識ならば、それは不幸なことだ。2005年初頭のbounce誌の表紙を、なぜ彼らが飾ったか?──その答えは、あなたの街の、タワレコ試聴機に用意されている。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2005年01月20日 13:00

更新: 2005年02月10日 18:47

ソース: 『bounce』 261号(2004/12/25)

文/山内 史