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インタビュー

Faith Evans

トラブルにまみれたファースト・レディーが最前線に帰ってきた。かつてない表情で、そして変わらぬ信念を貫いて……フェイス・エヴァンスの新たな序章がいま始まる!!

ファースト・レディーの帰還


 誰かがデビューする際に大袈裟なキャッチフレーズが与えられることは珍しくないが、その人がある段階まで昇り詰めると、その〈売り文句〉はやがて〈称号〉に変わる。メアリーJ・ブライジが授かった〈Queen Of Hip Hop Soul〉なんかはまさにそうだろう。そして、彼女のライヴァルという設定で登場したバッド・ボーイの〈The First Lady〉ことフェイス・エヴァンスについても同じことがいえる。このたび登場する彼女のニュー・アルバム『The First Lady』はキャピトルからのリリースとなった。住み慣れたバッド・ボーイを昨年離脱した結果なのだが、もはや彼女はどこにいようと〈The First Lady〉なのだ。

「〈The First Lady〉って、ジャクリーン・オナシスのように、憶測に囲まれながらも地に足が着いていて、周囲の尊敬を集める女性だというイメージがあるわ。私もいろいろ噂を集めているけど、聴き手が気持ち良くなれる音楽を作りたいという気持ちは一貫してるからね」。

 そう、ノトーリアスBIGと破天荒な結婚生活を送っていたかつてのフェイスはゴシップの波に喘いでいた。……そして現在の彼女を取り巻く大きな噂話は、ドラッグ絡みで逮捕された昨年の一件である。

「そう、逮捕されたの。いまは解決できたけど、公の前に出るアーティストとして、ひとりの人間として、責任を持って毎日を過ごさないと、って実感した。みんなが興味を抱いていることはすべてファースト・シングルの“Again”に書いてあるわ」。

 ただ、リリックに考えさせられる側面はもちろん、その“Again”はとにかく楽曲として抜群すぎる。ホワットノーツ“Genuine”をネタ使いして温かい哀愁味を漂わせた同曲のプロデューサーはアイヴァン・バリアスとカルヴィン・ハギンズのコンビ。彼らはアルバムの半分以上に携わり、いずれの楽曲でも最高の成果を上げている。

「彼らの作品はすべて好きだけど、特にジル・スコットやミュージックの楽曲は素晴らしくて、〈ああ、私もこういう曲を歌いたかった!〉と思うようなものばかりだったのよね。実際に組んでみたら、不思議なケミストリーが生まれて、昔からいっしょに仕事をしてたような気分になったわ!」。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2005年03月31日 13:00

更新: 2005年04月07日 20:11

ソース: 『bounce』 263号(2005/3/25)

文/出嶌 孝次