インタビュー

T.I.

この勢いは誰にも止められない!? 世界制覇をもくろむアトランタの若き王者が、またしても大傑作をモノにした!! 道はいつだってT.I.の後ろにできていくのだ!!

王者であることのプレッシャー


 いまや〈サウスのキング〉〈サウスのジェイ・Z〉などの呼び名を持つT.I.の通算4枚目のアルバムは、その名も『King』。アトランタのスラム街、バンクヘッドに育ち、ドラッグ・ディーラーなどを経て勝ち取った栄光の称号を不動のものとする集大成となりえるか? 本人いわく「ステロイド漬けの『Trap Musik』」という今作。アルバムが過去2作連続でプラチナム・セールスを記録しているということは、もちろん大きなプレッシャーになったのでは?と思うのだが、本人は至ってマイペース。

「セールスに対するプレッシャーはないけど、タイトルが『King』だから、その点のプレッシャーはあるね。最低でもサウスでは今年No.1になるアルバムにしないと、タイトルを変えなきゃならないかもな(笑)。正直、それはプレッシャーさ。でもすべてポジティヴで前向きなプレッシャーとして楽しんでるけど」。

 ニュー・アルバム『King』について「いままでのオレのアルバムでリスナーが大好きだった部分が、同じようにこのアルバムにも凝縮されて入っているから、いつもと同じものを期待してくれ」と語る彼だが。しかし2001年にファースト・アルバムをリリースして、5年あまりでみずからのアルバムを『King』と命名してしまっていることについては、こう説明する。

「この〈King〉っていう単語は、オレにとって凄く意味のある単語なんだ。T.I.っていう名前を聞くと、〈ああ、あの自分のことを“サウスのキング”って呼んでるヤツか〉という話題になるだろ? それに対して賛成でも反対でも、好きでも嫌いでもさ。自分のラッパーとしてのキャリアすべてがこの〈King〉っていう言葉に捧げられてるんだ。善かれ悪しかれ、この単語をタイトルにすることでみんなの注意を引くことになるのさ」。

〈King〉とはセールスの実績やその人気を表しているだけではなく、彼自身の自信の象徴であり、また自己に対する挑戦が含まれたコトバのようだ。

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掲載: 2006年05月04日 19:00

更新: 2006年05月11日 19:25

ソース: 『bounce』 275号(2006/4/25)

文/サリー 森田