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インタビュー

エゴ・ラッピン(2)

快感のレヴェルをもっと上げて

 昨年リリースされたアルバム『merry merry』は、聴き手の持つ先入観として(もちろんメディアの伝え方にも)なんとなくあったかもしれない〈EGO-WRAPPIN'ぽさ〉みたいなイメージから完全に自由になった、有意義な作品だったと思う。そのアルバムを引っ提げての全国ツアーは、EGO-WRAPPIN'の歴史のなかでも、もっとも多くの場所を回るものだった。そうしたライヴの現場で彼らは、自由を獲得したEGO-WRAPPIN'の音、すなわち彼らが本来持っていた多岐に渡る音楽的エッセンスとそれを表現する多彩なアプローチを、オーディエンスにリアルなものとして体感させ、浸透させてきた。そして届けられたニュー・アルバム『ON THE ROCKS!』は、演じ手と聴き手が共有するEGO-WRAPPIN'の自由さを、さらに確かなものとして昇華させた作品に仕上がった。

「このアルバムは〈口ずさめる歌〉っていうのがポイントで。『merry merry』がわりと内向的やったぶん、『ON THE ROCKS!』は開放的にやろうって思って。うまいこと言葉で説明できひんから歌ってるワケやけど、それを共感できる人の数が増えれば増えるほど莫大なエネルギーが生まれるし、その快感も味わえるし。そういう快感のレヴェルをもっと上げていかなあかんなあって思って。とにかくいい歌を歌おう、いい歌を作ろう、それをめざしました」(中納)。

「聴いてて、〈なんか綺麗やな〉とか、〈なんか強いな〉とか、〈なんか哀愁やな〉とか、そういうちょっとしたことでも感じられたら。それがいちばん自分のなかで難しく、かつ重要なことやと思ってて。それをなんとかEGO-WRAPPIN'なりのポップ・ソングにできたら、どこにもないオリジナリティーが出てくるような気がする」(森雅樹、ギター)。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2006年05月25日 21:00

更新: 2006年06月01日 22:09

ソース: 『bounce』 276号(2006/5/25)

文/宮内 健