インタビュー

RICO RODRIGUEZ(2)

世代を超えて受け継がれるリコの精神

 「70年代に『Man From Wareika』で初めてジャマイカに戻ってレコーディングした時に、スライ&ロビーと出会ったんだ。たくさんの若い素晴らしいミュージシャンがそこにいることを知ったのはとても嬉しい驚きだったよ」と語るリコ。

「日本のスカを演奏するプレイヤーたちも、とても若いのにテクニックもあって素晴らしい」と嬉しそうに話す口調にも、お世辞とかそういうものは一切含まれていない気がする。ワレイカ・ヒルに集った仲間たちとのフリーなセッションを、いまでも世界中を旅しながら続けている人。本当にそんな感じだ。今回はニュー・アルバム『Japa-Rico -Rico Rodriguez Meets Japan』のレコーディング(日本の若いスカを演奏するプレイヤーたちとのセッションを敢行)とライヴ・ツアーでの来日。スカタライツには名を連ねることのなかったリコだけれど、60年代のジャマイカの仲間たちが創造しようとしていた音楽の精神を、きっと日本の若いプレイヤーたちにしっかり伝えてくれたに違いないし、それはここに届けられた新作でも確認することができる。〈ルード・ボーイ・ミュージック〉――確かスカはそのような紹介のされ方で、ここ日本に入ってきたと記憶しているし、いまでもそういう側面に惹かれている人たちも少なからずいるのでは?とも思うけれど、リコの音楽や演奏をとおして伝わってくる深い精神性や、人間として本当に尊敬に値するような謙虚さ、常にオープンに開かれたマインドのようなものに気付いてしまえば、スカやレゲエという音楽がその人にとって本当にかけがえのないものになるに違いないと確信している。そのことに気付かせてくれた一人のトロンボーン奏者に、ここで心からの感謝を捧げたい。

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掲載: 2006年06月29日 23:00

更新: 2006年07月24日 22:03

ソース: 『bounce』 277号(2006/6/25)

文/鈴木 智彦