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インタビュー

OutKast

解散? 不仲? オレたちはどこにも行ったりしない! 過去から未来へ、地の底から宇宙の果てまでみんなを連れて行くだけさ! アウトキャストが帰ってきたぞ!!

スウィングしなけりゃ意味ないぜ!


 「94年にデビューして以降、意図的にではないけど音楽性が何度か変化してる。ちゃんと見てきてるファンはわかってくれてると思うけど、それに対してのプレッシャーは感じない。だって変化のないアルバムを作るんだったら、それは〈コピー・キャット〉と呼ぶべきだろ? みんなと同じものしか作れないんならさ」(アンドレ3000)。

 賢明なリスナーの皆さんであればすでに心の準備はできていると思うけれど、今度のアウトキャストはいままでにも増してチャレンジングだ。あのルー・リードをして〈最高のロックンロール・ソング〉と言わしめた“Hey Ya!”を含むグラミー賞〈アルバム・オブ・ジ・イヤー〉受賞作品『Speakerboxxx/The Love Below』から約3年、みずからが主演を務める同名ミュージカル映画のサウンドトラック的な側面も備えた通算6枚目の新作『Idlewild』は、30年代のアトランタに作り上げた架空の街=アイドルワイルド(30~40年代にミシガン州に実在した裕福な黒人のためのヴァケーション・スポット)を舞台とする映画の内容に応じて大半がスウィングやジャイヴ、ブルースのエッセンスを採り込んだ楽曲で構成されている。

 「30年代の音楽というのはほとんど聴いたことがなかったんだけど、だからこそこの映画を作ったんだ。映画を観た人がその時代の音楽の雰囲気を味わえるようにね。レコード・ショップに行って30年代の音楽を探したり、映画のプロダクション・チームがその時代の映像が観られるDVDを集めてくれたりして、なるべく本物に近いヴァイブを出せるように努めたよ。具体的には〈ストーミー・ウェザー〉や〈ポーギーとべス〉のDVDを観たり、キャブ・キャロウェイなんかの音楽を聴いた。俺が好きなジャズは50~60年代のものだから、30年代まで遡って聴くのは新鮮だったね」(アンドレ)。

「これまでに俺たちが作ってきた曲でも“The Whole World”(2001年)なんかではプロモ・クリップにも30年代のイメージを打ち出してきたし、音的にもスウィングの影響を受けてると言っていいだろうね。いずれにしても30年代の音楽のビートやテンポに合わせるのは挑戦だった。ああいう曲でライムするにはスウィングしなきゃいけないんだよ」(ビッグ・ボーイ)。
▼『Idlewild』に参加したアーティストの作品を一部紹介。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2006年09月14日 23:00

更新: 2006年09月28日 22:38

ソース: 『bounce』 279号(2006/8/25)

文/高橋 芳朗

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