インタビュー

BY PHAR THE DOPEST × RHYMESTER(2)

RHYMESTER ⇔10年以上のキャリアで耳ヲ貸スベキ名作を量産してきた日本語ラップのパイオニアがベスト盤を発表! しかも待望の新作が201X年に!!……って、どういうこと!?

〈次に出すべき時まで待っててください〉
  93年のファースト・アルバム『俺に言わせりゃ』のリリースから10年以上を経て、RHYMESTERが満を持してベスト・アルバム『メイドインジャパン ~THE BEST OF RHYMESTER~』を発表する。全26曲入りの2枚組となる本作には、“B-BOYイズム”“耳ヲ貸スベキ”といったBボーイの〈お約束〉曲を多数収録。“And You Don't Stop”の現行ライヴ様式リメイクや、スクービードゥーと共演した“けしからん”のバンド・ヴァージョン、そして彼らの代表曲“キング・オブ・ステージ”の再録版も収録されている。さらに新曲も登場予定で、本稿執筆時点では未完成だが、宇多丸いわく「〈ザ・RHYMESTER〉と呼べるマイクもの」というから期待大だ。日本語ヒップホップの黎明期から活動を続け、本作で志操堅固の足跡をいったん総括するRHYMESTER。では今後、彼らはどこに向かうのか? そこには、本作のリリース以上に大きなニュースが待っていたのだった……。

――そもそも、なぜベスト盤をリリースすることに?

Mummy-D「『HEAT ISLAND』を録ってるときに〈次はベスト盤を出したいな〉と思ったの。マボロシを終えてRHYMESTERに戻ってきて、〈RHYMESTERとしてどういうものを出していくか〉とか自分なりに悩みながら作ったところがあって。で、俺のなかで、いままでやってきたことを一段落させたかったんだよね」

宇多丸「あと、RHYMESTERっていう名前は知ってるけど、CDを買うまでには至ってない人がいるわけで。そういう人に〈はい、これがRHYMESTERです〉って言えるアルバムが必要な頃かな、と。これを聴けばとりあえず俺たちのライヴに来ても楽しめます、っていう」

――でも、どこか節目感を求めていた。

M「いままで自分が考えてきたRHYME-STERっぽいものは、ある程度やり尽くしたな、っていう感覚があるんだ。〈次のアルバムはこんな感じだよね〉っていう話はもうしてるわけ。でも、そこへ行く前に〈RHYMESTERのサイクルを1回絶たないと〉っていう気持ちがあってさ」

――では、今後のRHYMESTERは……?

DJ JIN「しばらくレコーディングはない」

――マジで!? 

M「うん。俺はマボロシを作っていくし、宇多さんもソロをやる」

――RHYMESTERは活動停止ってこと?

J「いやいや、そこまで大袈裟じゃない(笑)。レコーディングは先だけど、ライヴはやるつもりだから。安心して」

――ライヴといえば、3月31日に初の武道館ライヴが決定しましたね。

「そのライヴもベスト盤と感覚が近いかも。ここらで〈武道館公演をやった〉っていうマイルストーンを立てておこうと」

M「武道館のメニューは集大成的なものになると思う。あんまりハッタリをかましたりしないグループだけど、武道館はデカい花火を打ち上げたいね。で、その後のライヴは……オファー次第かな。オファーが来てから考える(笑)」

「〈しばらくやらない〉って言ったほうが武道館に来てもらえるかな(笑)? でも、まったく休んでるようには見えないと思うよ。常に何かはやってる」

M「次は、もしかしたら201X年かもしれないし、2008年とか2009年かもしれない。その時に〈RHYMESTERのアルバムはこうあるべきだ〉っていうヴィジョンはあるんだよね。だから、次は出すべき時に出す。俺らの言葉が求められている時に出す。それは言っときたいし、それまで待っててくださいよと。その時にはたぶん、ふた皮くらい剥けてるんじゃないかな 」
(インタヴュー・文/猪又 孝)

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掲載: 2007年01月25日 21:00

更新: 2007年01月25日 21:04

ソース: 『bounce』 283号(2006/12/25)

文/土屋 恵介、猪又 孝