安室奈美恵(2)
古臭くなるのはイヤだったし
――今回の『PLAY』は、参加したプロデューサーがNao'ymtさんとT.Kura&michicoさんの2組だけになっています。これは安室さんからのリクエストだったんですか?
「っていうか、気付けばそうなっちゃってたんです。アルバムの半分くらいのトラックが集まったときに、〈これ、2組だけなんだけど〉〈……そうですか?〉みたいな(笑)。それで決め込む感じはなかったので、他の方の楽曲も聴いてたんですけど、その2組の楽曲の印象が強烈で」
――特に強烈だったのは?
「ロック曲の“It's all about you”かな。いままでああいう感じの楽曲はあんまり歌ってなかったから。で、歌ってみたら超難しくて(笑)。でも、ロックを1曲入れたいのでっていう注文をしたのは私だな、みたいな(笑)」
――これ、リズムを取るのが難しそうですもんね。
「難しくて泣きそうになりました、レコーディング中(笑)。もう、読者の皆さんにも挑戦してもらいたいですね(笑)」
――楽曲制作段階で印象深いエピソードがあるナンバーは?
「“Should I Love Him?”は、michicoさんおすすめのバラードなんですけど、歌詞の世界観を決めるときに、〈最近観た映画や漫画はある?〉って訊かれて、ある漫画をmichicoさんに渡したんです。それで書いてくださったのがこの曲で」
――ちなみに、その漫画というのは?
「田村由美さんの〈BASARA〉。超イイ漫画です。切なくて」
――これは「ロミオとジュリエット」的な世界観かなとも思ったんですが。
「うん、そんな感じですよ。漫画もそうだし」
――今回はバラードがこの1曲のみですが、そこもこだわりポイントですか?
「はい。実はバラードはもともと入れるつもりもなかったんですよ。アルバムの後ってすぐツアーに出るし、いままで歌ってきたバラードのなかにもいい楽曲は多いなっていうところがあって。今回はライヴでもっともっと踊れる楽曲だけを集めようって思ってたんです」
――リード曲“Hide & Seek”をはじめ、今回はいわゆるR&Bやヒップホップのイメージを逸脱したビートが多いですよね。最近は80年代や90年代の音を換骨奪胎させたサウンドが流行っていますが、アルバムにもそういうテイストが盛り込まれているし。
「そこらへんは迷ったんです。古臭くなるのはイヤだったし、それをどう採り入れて最終的にカッコ良く仕上げるんだろう?とか。でも、T.Kuraさん、michicoさん、Naoさんは何度もお仕事させていただいているし、絶対カッコ良くしてくれるっていう信用があるし。あと、安室奈美恵が歌ったらこうなるんじゃないかな、っていうイメージがあって書いてくださってる曲もあるんだろうと思って、お任せしようって」