インタビュー

時代のサウンドとPLAYする女性ヴォーカル作品

 『PLAY』に収録された“Hide & Seek”などを聴いて、ジャスティン・ティンバーレイクやグウェン・ステファニーが近作でトライした(アーバン系クリエイターによる)新しいポップスを連想する人も多いだろう。現在のUSのメインストリームではアーバン作品の要素をまろやかに採り入れた作品が華盛りなわけで、それこそ安室が前作で標榜した〈Hip-Pop〉なるキーワードを思わせたりもする。で、そうしたミクスチャー路線の先駆けとなったファーギーや、安室の“CAN'T SLEEP, CAN'T EAT, I'M SICK”が参照したと思しきジェニファー・ロペス、さらには“Umbrella”で逆にロックのノリを導入してシーンの動きに対応したリアーナ、デンジャと組んで先鋭化を図った「アメリカン・アイドル」のキャサリン・マクフィー、マイク・エリゾンドを制作に迎えてイヴとも絡んだナターシャ・ベディングフィールドなど、もはやR&B的なポップスとかポップR&Bといった区分けが意味をなさないほどの渾然一体な状況となっている。そして、自由度の高いアーバン・ポップを展開する『PLAY』がその流れに自然と応じていることが凄い……と思ったりするわけだ。もちろん、そういうコース取りがGIANT SWINGのアルバムも記憶に新しいT.Kuraとmichico、そしてNao'ymtといったバックアップ陣の嗅覚によるものであることにも留意すべきだろう。なお、より新しい世代として、時流に意識的なFoxxi misQが成果を上げていることも強調しておきたい。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2007年07月05日 17:00

更新: 2007年07月26日 17:50

ソース: 『bounce』 288号(2007/6/25)

文/出嶌 孝次