インタビュー

10年以上の〈FOREPLAY〉 その1


安室奈美恵with SUPER MONKEYS 『DANCE TRACKS VOL. 1』 東芝EMI 
グループ名義を中心とした初期曲の編集盤。似た出自の人はいっぱいいたけど、彼女が抜きん出た秘密が単にその歌唱力にあったこともよくわかる。“太陽のSEASON”など、がむしゃらな歌いっぷりがヒットに結実したユーロ・カヴァー路線はやはり圧巻。

安室奈美恵 『SWEET 19 BLUES』 avex trax(1996)
小室哲哉のトータル・プロデュースによる、記念すべきファースト・アルバム。ジャネット・ジャクソンの諸作に倣ってインタールードを挿んだ構成で奇を衒うことなく進行し、全曲が感動的な表題曲の枕になっているような巧みな作りが素晴らしい。アートワークも最高!

安室奈美恵 『Concentration 20』 avex trax(1997)
最初の全盛期を迎えるなかでリリースされたヒット作。国民的バラード(?)になった“CAN YOU CELEBRATE?”やデジロック調の“How to be a Girl”といったシングルが活きる作りで、コンセプチュアルな前作に比べればやや散漫な気もするが、レゲエの“Me love peace!!”などが新鮮か。

安室奈美恵 『GENIUS 2000』 avex trax(2000)
前年のシングル“SOMETHING 'BOUT KISS”を手掛けたダラス・オースティンが都合5曲をプロデュースし、しっとり感を増した小室曲との統一性も図られた聴きやすい一枚。現在はロイドなどを手掛ける売れっ子、ジャスパー・キャメロンもソングライターとして参加。

安室奈美恵 『break the rule』 avex trax(2000)
この年2枚目のアルバム。ダラスの続投もあるが、力強い“PLEASE SMILE AGAIN”や優美なアップ“no more tears”など小室製の楽曲がどれも最高レヴェルで、これはもっと評価されるべき隠れ名作! ポッパLQのラップが聴けることもウェッサイ・ファンだけに報告しておく。

安室奈美恵 『LOVE ENHANCED single collection』 avex trax(2002)
ベスト盤のような表題ながら、ヴォーカルを再録したり、リミックス/リアレンジを施すなどして過去のシングル曲を再構築したセルフ・カヴァー的な意味合いの一枚。本人が望んだと思しきR&B的なアレンジを基調にして、どの曲もややオトナっぽい印象に。

SUITE CHIC 『WHEN POP HITS THE FAN』 avex trax(2003)
FIRSTKLAS(ZEEBRA+今井了介)とVERBALを筆頭に、日本のヒップホップ/R&Bクリエイター陣と合体したプロジェクトの初作。様相を変えたトラックやMCの参加も聴きどころだが、力まずにリラックスした唱法やバウンシーなフロウにも挑戦したヴォーカルの変容ぶりこそが麗しい。

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掲載: 2007年07月05日 17:00

更新: 2007年07月26日 17:50

ソース: 『bounce』 288号(2007/6/25)

文/出嶌 孝次