インタビュー

エイミー・ワインハウスの世界を形成する音楽たち その3

ROOTS
エイミーの歌声からまず想起されるのは、ジャズ好きだった父親に教えられたというサラ・ヴォーンやダイナ・ワシントンなど、オールド・タイミーなジャズ~ポピュラー歌手たちだろう。また、大仰な発声と節回しは「007 ゴールドフィンガー」のテーマで知られるシャーリー・バッシーにも似ている(関係者も同じ連想をしたのかエイミーは次の〈007〉で主題歌を担当するとか!)。そこに、彼女がお気に入りだというシャングリラズなどのガールズ・グループ(P38を参照!)、オールディーズ~ドゥワップ、ライヴで“Cupid”を取り上げているサム・クックのようなソウルといった懐かしい味わいが折衷されて、エイミーのセンスを形作っているのは疑いない。そんな彼女の嗜好が反映されたからこそ、『Back To Black』にはテンプテーションズ“My Girl”そっくりの進行や、マーヴィン・ゲイ&タミー・テレル“Ain't No Mountain High Enough”やオーティス・レディング&カーラ・トーマス“Tramp”のネタ使いといった仕掛けが用意されたのだろう。さらに、ティーン時代の彼氏の影響もあってレゲエやスカに熱中したという彼女は、メイタルズ“Monkey Man”とスペシャルズ“Hey, Little Rich Girl”をシングルでカヴァーしている。


シャーリー・バッシーのベスト盤『The Magic Of Shirley Bassey』(Harris)


オーティス・レディング&カーラ・トーマスの67年作『King & Queen』(Atco)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2007年09月06日 14:00

更新: 2007年09月06日 17:44

ソース: 『bounce』 290号(2007/8/25)

文/出嶌 孝次