『I'm not fine, thank you. And you?』が生まれたバックグラウンドをリーダーが解説!
俺たちの音楽とは、まったく関係のない6枚です。というのも、〈ロックからかけ離れた音楽を聴いて、そこから得たものでどれだけ自分たちの音楽が作れるのか〉というのを試したかったから聴いていたんです。クラシック音楽って、ロックと比べると音に対する追求がずっとシビアなんですよね。その心意気をロックに持ち込みたかったんです。特にこのチェリビダッケって指揮者。『Brahms:Symphonies No.2,3&4』と『Bru-ckner:Symphony No.9』を持ってきているんですが、特に後者はカラヤンのヴァージョンと聴き比べると20分くらい遅い。最初はそれがどうしてなのかわからなかったんですが、ヴォリュームをデカくして聴いてみたら、この人はホールでの残響までコントロールするためにスピードを遅くしているんだ、ということに気がついて。ハコによって演奏のペースを変えるとか、ロックを聴いているだけではできない発見が多いですね。そしてジョン・レンボーン・グループ『The Enchanted Garden』とか、コンピ『Oh My Little Darli-ng:Folk Song Types』に関しては、音楽のプリミティヴな部分に触れたかったから聴いていました。何もない状態から音楽が生まれる瞬間を知りたくて。ただ、これを聴いたからわかるというものではなくて、同じ状況下に自分を置いてみて、自分で考えてみるんです。それからアルフレット・シュニトケの『Psalms Of Repentance』は宗教音楽なんですけど、自分がただ音楽をやっているという状況が薄ら寒かったので、不可能なことかもしれないけど〈音楽に意味を込めるということは可能なのか?〉ということを、真剣に考えてみたかったんですね。
ここに挙げたものの共通点は、すべてアンプラグドで成り立つ音楽だということ。技術をはじめ訓練してきたことがすべて直接出てしまうから、ロックよりも100倍は生々しく感じます。あとはどれも、〈自分にないものだから知りたい〉という動機で聴いていたら、どんどん好きになっていった作品です。(談)
チェリビダッケ指揮『Bruckner:Symphony No.9 - In Concert And Rehearsal』(EMI Classics)
2002年リリースのコンピ『Oh My Little Darling:Folk Song Types』(New World)