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インタビュー

クレイジーケンバンド(2)

結局、歌よりサウンド

 前置きが長くなりましたが、CKBのニュー・アルバム『ZERO』。黒をベースにヴィヴィッドな発色のピンクが眩しい、熱い視線を集めること間違いなしのパッケージだ!

「USの某ランジェリー・メーカーの通販カタログでこの色の組み合わせのアイテムを見て、今年の夏はコレだ!と(笑)。でまあ、ぜんっぜん関係ないところからの発想だったんですけど、〈暗い世の中にピンクのランタンを灯そう〉みたいな、ラヴな意味を持たせようかと。バンド名もタイトル表記もないですし、今回はジャケ買いをさせないというか、中身で勝負と。『ZERO』っていうタイトルに関しては、そろそろ油断する時期というか、ここでひとつふんどしを締め直すという意味で。毎回そうなんですけど、今回は特に自分らのクセみたいなところにあぐらをかかないように……という感じで臨んだんですが、やっぱり過去と比べると同じとこは同じなんですね(笑)。でも意識的になったことといえば、いままでは〈ヴォーカルも含めてサウンド〉っていう考え方だったのが、今回は〈歌ぢから〉っていう高いハードルを設けて、歌が抜けるようなミックスを心掛けてみまして。そもそも僕は自分の歌にコンプレックスを持っていたもので、〈サウンドのひとつとして声がある〉っていう考え方をとおしていたんですけど、いい加減そういう言い訳はダサイなと思いまして。ちゃんと歌手として真っ当にやんないとバチが当たっちゃうなと。今回のレコーディングではそこを意識しながら一音一音トリートメントしていったんですけど、そしたらウチのサウンドのイイところもマズイところも全部聴こえちゃうようになって、大変でしたね(苦笑)。結局、〈歌〉とかいいながら、9割方サウンドのことを考えたアルバムになりました」。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2008年08月28日 20:00

ソース: 『bounce』 302号(2008/8/25)

文/久保田 泰平