インタビュー

クレイジーケンバンド(3)

シビレる音楽をやりたい

 お馴染みの冒頭ナレーションを経て、小粋なジャズ&ボッサ“ランタン”、モータウン調の“デトロイト音頭”、十八番のカー・ソング“中古車”、ラガ風味の“夏”、Full Of Harmonyの涼感たっぷりなハーモニーをフィーチャーした“音楽力”、ゴスペラーズを招いたスウィート・ソウル・ナンバー“Lookin' Your eyes”……今作もイントロ/アウトロを除いて21曲。個人的にはチェンバロの切ない響きが印象的な欧州ポップス調の“猫”が好き……と言ったらば。

「“猫”! 小学生の時、哀しいなあって感じる曲には大抵チェンバロが入ってて。ポール・モーリアとかね。だから、この音を聴くと涙が出ちゃうんです、ワケもわからず。心のひだに引っ掛かってくる音と言いますか。チェンバロに限らず、ここ数年はヒップホップのトラックメイカーによる変わった音色に引っ掛かりますね。6年前だけど、昔のインド歌謡をサンプリングしたトゥルース・ハーツ“Addictive”とかね。そういう、意味もわからず人の心を鷲掴みにする音色の魔力みたいなものは、言葉で表現するメッセージ以上に重要なことだと思うんですよ。得体の知れない何か、煙みたいなものが出てくるんですね。そんな感じでジャンル関係なく、シビレる音楽っていうのをやりたいなあ、これからも」。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2008年08月28日 20:00

ソース: 『bounce』 302号(2008/8/25)

文/久保田 泰平