インタビュー

クレイジーケンバンド

彼らならではのステキな〈お約束〉に新鮮な空気を絶妙に混ぜ合わせ、毎度リスナーを楽しませてきたこの10年。そしてこれからのCKBが向かう先は……?


  湧き出ることが止まらないロマンティックを軽妙な音楽に乗せ、ないものねだりのレディース&ジェントルマン、もしくはボーイズ&ガールズを楽しませ続けてきたクレイジーケンバンドが、今年満11歳を迎えた。いまや〈CKB〉が何の略かってことも、〈ヨコヤマ〉ときたら〈やっさん〉じゃないってことも、タワレコに足繁く通ってらっしゃるような皆さんならずともおわかりかと思いますが、そんなCKBとbounceが初めてコンタクトしたのは、2002年作『グランツーリズモ』の発表時。CKBを取り囲む〈ザワザワ〉が一気にヴォリューム・アップした頃でした(フミ・ヤマウチ氏のナイスなインタヴューはbounce.comにて復習可)。

「当時のバンド形態では、脳内サウンドを実現するのが難しくなりましてね。キーボードなしじゃあり得ない楽曲とか、まあレコーディングではギターの小野瀬(雅生)が弾くので何とかなるんですけど、ライヴではそれがムリだったんで、歌っててなんかギア入らないなって。それでキーボードのメンバーを正式に入れて、脳内サウンドにかなり近づくことができたのが『グランツーリズモ』から。でもまあ、世間的なアピールとしては(2001年リリースのシングル)“肉体関係”をRHYMESTERが逆フィーチャーしてくれたことですかね。これで初めて――他人のふんどしではありますけど(笑)――シングル・チャートに入れたっていうね。あれでさらに広がった感じで」(crazyken、ヴォーカル:以下同)。

 思い返せばこの10年。〈ターニング・ポイント〉であるとか〈ハイライト・シーン〉と呼べるような瞬間を幾度も経てきたCKB。しかし、その世界観を劇的に変化させたことは、ない。しかし、いくつかのステキな〈お約束〉を繰り出し続けながら、スパイス的に旬な風味――ネオ・ソウル、R&B、昭和歌謡、ヒップホップ、ダンスホール・レゲエ――を丁寧に練り込むことによって、新しいリスナーを招き入れてきたように思う……ってことで、今年もCKBの季節がやってきた。そう、〈夏〉といえばCKB……えっ、〈夏〉といえばサザンでしょ?って。確かに、CKBを優に上回るキャリアのグループを差し置いて、ってところはありますけれど。そういえば、bounceで初めて行ったインタヴューの際に、crazykenがこんなことを言っていたので、再録。

「音楽的に同じというわけではないんですけど、曲のヴァリエーションの豊富さという点ではサザンオールスターズにいちばん似てるかな、と思うんですよね。なんでもアリなんだけど桑田佳祐さんっていう文脈で一個に繋がってる──近いっていうわけではないんですけど、アウトプットの仕方っていう意味で」。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2008年08月28日 20:00

ソース: 『bounce』 302号(2008/8/25)

文/久保田 泰平