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インタビュー

GCHに見るロックとヒップホップの融合……とか言ってる時点でもうズレてるぞ!!

 ザックリ〈ロックとヒップホップ(~アーバン)の融合〉というお題目を立てると、いまだにリンプ・ビズキット~リンキン・パークなどの〈モダン・ヘヴィーな轟音+四角四面なラップ〉を連想する人は案外多いはずだ。各ジャンルのファンが融合モノを敬遠しがちなのはその手の中途半端なイメージが顕在化しているからだと思うんだけど、実際はもうそんなわけもなく……例えばFOBやGCH以上にいま重要なのは、+44のドラマー=トラヴィス・バーカーだろう。ゲームやフェデレーション、バン・Bらの作品に参加しつつ、ポール・ウォールとバンドも組んでいる彼は、フロウ・ライダーの“Low”(日本盤で聴ける)やリル・ウェイン“Got Money”などの生音リミックスも多数手掛け、かなり自由な感覚で独特のバウンス・ビートを叩き出している。で、そんなトラヴィスのロック感をアーバン側から構築しているのがN.E.R.D.だと言えるし、逆にそのフリーフォーム性をバンド・アレンジで再解釈したのが、ライアン・テダーも在籍するワンリパブリックや、新進バンドのスクリプト(こちらを参照!)だと言えはしまいか。今後はグッド・シャーロットのマッデン兄弟によるデッド・エグゼクティヴズなるユニットにも注目で、その片鱗はビジー・ボーンやスリー6マフィアの近作でも確認可能だ。こうして見ると両陣営の交流は非常にスムースかつイキイキと行われていて、もはや〈融合〉などと堅苦しく呼ぶべきではない。それに対して、相互のリスナーが相互のジャンルを一面的に捉えるという行為が必要以上の壁を作っているのは確かだろう。オープンマインドな音楽はオープンマインドに楽しみたいもんです。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2008年10月30日 01:00

更新: 2008年10月30日 17:19

ソース: 『bounce』 304号(2008/10/25)

文/出嶌 孝次