インタビュー

メンバーの脳内に住み着き、新作への手引きとなったであろうトゥナイト盤を紹介!

DAVID BOWIE 『Station To Station』 RCA(1976)
創造面での苦悩と多忙な日々で疲れたボウイが、当時傾倒していたソウルと元来のアヴァン志向を融合させた重要作。どこか透明で冷たさを纏った彼の個性と、ソウルの甘さが合致した大人のための〈踊れる音〉は、フランツ・ファンにも聴いてもらいたい。

GARY NUMAN 『The Pleasure Principle』 Arista(1979)
パンクと電子音楽を同時に呑み込んだからこそ、初期衝動ではなく数式を解いていくかのようにダークなエモーションをニューウェイヴの形にできた彼。理路整然としたリズムの組み方とアガりすぎない空気感は、フランツにも影響を与えたはずだ。

THE HUMAN LEAGUE 『Dare!』 A&M/Virgin(1981)
フランツの新作から色濃く感じるソウルやR&Bの薫りは、80年代初期のエレポップ勢が例外なく抱いていたのと同じ黒人音楽への憧れを思い出させる。当時の代表的グループによる本作のシンセ音を、ギターやベースに脳内で置き換えれば……ほら!

QUEEN 『Hot Space』 EMI(1982)
若き日のアレックス・カプラノスを心酔させたクイーン。本作はそれ以前のクイーンのイメージを覆す、実験的にファンクやディスコなどの要素を取り入れた一枚だ。音楽的な斬新さと折衷主義がポップと両立する過程を、アレックス少年も目の当たりにしたことだろう。

YAZOO 『You And Me Both』 Mute(1983)
デペッシュ・モードの初期ソングライターだったヴィンス・クラークが、脱退後に結成したシンセ・ポップ・デュオ。空間を活かしながらポップ+ダンスを両立させている様や、リズムの速さを必要とせずとも昂揚感を生んでいく様が、フランツの新作と共通する!

THE POLICE 『Synchronicity』 A&M(1983)
スキルの高さを実感させる過不足ない演奏と共に、さまざまなジャンルの音を呑み込んでポップにアウトプット。これ見よがしではなくそれを自然にやってのけるクールさは、涼しい顔で斬新な音の融合を響かせているフランツの新作にも通じる。

THE CHARLATANS 『Up To Our Hips』 Beggars Banquet(1994)
この5人組の黄金の美メロが開花した3作目。マッドチェスター直系のグルーヴで踊らせつつ、フックの効いたメロディーを上手く配置していくあたりは、クールなビートを用いつつもポップに楽曲を仕上げていくフランツの目線と近い。

BELLE AND SEBASTIAN 『If You're Feeling Sinister』 Matador(1996)
故郷グラスゴーのインディー・シーンで、自分たちよりもちょっと年上の彼らにはフランツも憧れたはず。“Dream Again”など新作で披露されるいくつかの繊細な曲からは、ベルセバ流ソウル+インディー・ポップな夢見心地も。

ELLIOTT SMITH 『Either/Or』 Kill Rock Stars(1997)
新作の最終曲でのアコギ弾き語りは、どこかエリオット・スミスの控えめなエモーションを彷彿とさせる。インディー・マニアなフランツの面々だけに、メジャーに移る直前の本作で輝いたエリオットの歌も、必ずやチェックしていたことだろう。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2009年01月22日 22:00

ソース: 『bounce』 306号(2008/12/25)

文/妹沢 奈美