インタビュー

王子様系キラキラ・ポップスに夢中なんです!

 2007年にデビューした時点で、ミーカはプリンスやベックの系譜に連なる魔法仕掛けのサウンドと、エルトン・ジョンやクイーンっぽいハイトーン歌唱ですでに〈ミーカ〉という新ジャンルを確立していました。それだけ彼の出現は衝撃的だったし、彼の作るポップスは新たな〈王道〉として世界中で支持されたわけです。で、〈フォロワー〉と言ってしまうと語弊があるかもしれませんが、この2年間にミーカと同列で楽しみたい男性シンガー・ソングライターが多数シーンに登場しました。ここではその一部を紹介しましょう。

 まずはフランスのスライミー選手。ルックスからしてプリンス愛丸出しのこの若者は、ミーカにグルーヴ感を足したような下半身系のマジカル・ポップを披露しています。続いて、US出身ながらUKのニューレイヴ界隈から人気に火が点いたサム・スパロー選手。〈殿下meetsダフト・パンク〉なミラーボール・チューンで、登場時には〈フロア版ミーカ〉なんて呼ばれていましたっけ。お次は身長190cmの王子様、UKのパトリック・ウルフ選手。2004年作『Lycanthropy』ではエレクトロニカ寄りのダークな音を構築していた彼が、2007年に振り切れ系(!?)のポップ・シンガーへ転向! その裏にはミーカの成功も大きく影響しているのではないでしょうか? 大変身を遂げたと言えば、LA在住のポップ・リーヴァイ選手も忘れられません。それまでのヘロヘロ・サイケから一転、MJへの憧れを大爆発させ、ミーカにエロスを撒き散らかしたかのようなラヴソングで驚かせてくれましたね。そして最後は、コステロ直系の捻くれパワー・ポップ色を押し出したUKのポール・スティール選手。風貌はモッサリしてますが、キュートなメロを書かせたら敵ナシです。ミーカの2作目に刺激を受けて、今後ますますカラフルな男性シンガー・ソングライターが活躍するはず。さて、次は誰がブレイクするかな?

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掲載: 2009年09月16日 18:00

ソース: 『bounce』 314号(2009/9/25)

文/白神 篤史