Aerosmith
モンスター・バンド、エアロスミスがブルースに噛みついた!
エアロスミスのアティテュード
「ガキの頃、〈黙れ、この馬鹿!〉って怒鳴られてたこの俺たちが、いまや〈世界的に有名な馬鹿〉だろ?(笑) 〈スーパー・ボウル〉みたいな馬鹿デカいショウに出たり、〈ロックの殿堂入り〉を果たしたり、あまりに楽しいことばかり。だから辞める気がしないんだ!」──全世界でのアルバム・セールス総計、1億枚突破。そんな数字を根拠に持ち出すまでもなく、エアロスミスが世界でもっとも成功したロック・バンドとして認知されていることは明白だ。そして、そんな成功の〈味〉について尋ねようものなら、スティーヴン・タイラーはこんな言葉を吐き出すわけである。
実はこの発言は3年前の冬、彼らがアルバム『Just Push Play』完成直後の取材に応じてくれた際のもの。で、その発言中にもあるとおり、2001年にはアメリカの国民的行事ともいうべき〈スーパー・ボウル〉のハーフタイム・ショウに出演し、全世界で7億5,000万人ものTV視聴者にその雄姿を披露したわけだが、今年もそのプレ・ショウに出演したことについて〈どうしてまた出ることにしたのか?〉という愚問をプレス陣からぶつけられ、スティーヴンは「キミはいままでチーズバーガーを1個しか食べたことないの? セックスを1回しかしたことないの? そんなこたねえだろ? いいモノってのは何度でもいいもんなんだ」と答えたという。成功ってやつは、何度味わっても美味なものなのである。
また、昨年の後半には、ほぼ〈同期〉にあたるキッスとの合同全米ツアーで話題を集めた彼らだが、MTVによる取材のなかでキッスに対するライヴァル意識について訊かれると、ジョー・ペリーは「俺は、俺自身のバンドをどこまでも信じてるから」とかわしつつも、ある種の本能的競争心が、お祭りムードであると同時に両者のガチンコ勝負でもあるこのツアーを成功に導いたことを認めている。
「そんな意識の存在が最高のライヴを作り出すんだ。素晴らしい曲があるか? 素晴らしいライヴをしてるか?……俺はそう自問自答しながら常にバンドの実情を理解する。そこにある何かが聴衆を狂わせるんだからね」。
同年代のバンドにも、若い世代にも負けちゃいられない。が、そこで強引にみずからを加速させてカラ回りしてしまうんじゃなく、彼らは常にその時代、その瞬間における自分たちの等身大の姿を正確に把握しているのだ。で、しかも冒険心を忘れることがない。スティーヴンは「俺たちがいちばん誇りに思ってるのは、最初の頃からずっと持ち合わせてきた〈つべこべ言わずにとりあえずやってみようぜ!〉って姿勢だな」と言う。事実、3年前に〈つべこべ言わずにプレイ・ボタンを押せ!〉というアルバムを発表した彼らは、今回も本能のおもむくまま、ブルース・アルバムを完成させたわけである。
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