ロックとブルースのいい関係……どころか、彼らはいつもアツアツなの
ロックにおけるブルースの影響力は、直接/間接問わず計り知れない。実際、ローリング・ストーンズやエリック・クラプトンらをきっかけに、ブルースにどっぷり漬かることになった人も少なくないだろう。しかし、ロック・バンドにおけるブルースの表現方法はさまざまである。ブリティッシュ・ブルース・ロックの礎を築いたアレクシス・コーナーやジョン・メイオールはそのリスペクトぶりを直接的に体現し、ヤードバーズ、ストーンズ、アニマルズらはブルースやリズム・アンド・ブルースを若さと衝動漲るビートに乗せてみずからのブルースを体現している。その様は後のパンクにも通ずるところで、クラプトンが在籍していた初期のヤードバーズの名盤『Five Live Yardbirds』でその熱い息吹を感じ取ることができる。そして、クリームやフリー、ロリー・ギャラガーらによる、さらにへヴィーでアグレッシヴなアプローチがブルースを昇華させ、数多のギター・ヒーローを世に輩出していった。
一方のアメリカは、ブルースが生まれた国でありながらメインストリームで正統に評価されることが少ないにもかかわらず、キャンド・ヒートやオールマン・ブラザーズ・バンド、ジョニー・ウィンターらが、突出したギター・テクニックと独自の解釈でブルースと向き合った功績は大きい。そして、その後の流れをも変えたスティーヴィー・レイ・ヴォーンの出現やGラヴ、ベン・ハーパーらの独創的なアーティストの出現を経て、現在もどこかのガレージで、粗野な〈ロッキン・ブルース〉を叩きつける輩がしのぎを削っている。
▼文中に登場するアーティストの代表作を紹介
スティーヴィー・レイ・ヴォーン&ダブル・トラブルの84年作『Couldn't Stand The Weather』(Epic)
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