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インタビュー

R・ケリーの持つ色とりどりのエッセンスを解剖

CHICAGO STEPPERS

  詳細はインタヴュー本文を参照してほしいが、新作の〈Happy People〉盤でRが標榜するのがステッパーズだ。日本でいうところの社交ダンスのように正装した男女が流麗に踊る、シカゴには昔からあるダンスなのだそう。この先も間違いなくモード化するはず、というか、ビヨンセがDVD「Live At Wembley」でステッパーズを披露しているのでチェック。まあ、聴けばわかります。

GOSPEL


R・ケリーも参加したカーク・フランクリンの98年作『The Nu Nation Project』(Gospo Centric)

  早い段階でワイナンズをプロデュースしたり、カーク・フランクリンやトリニティ5:7といったゴスペル・アクトとも長いこと交流を持っているR。自曲でもクワイアを従えた“I Believe I Can Fly”のようなベタなものや、教会での掛け合いを模した“The Sermon”などいろいろある。その後も作品内で〈祈り〉を伴った楽曲を見つけることは難しくなく、今回の〈U Saved Me〉が纏うスピリチュアルな装いは、Rが長年抱えていたテーマの現れなのだろう。

REGGAE

   新作はコンセプトゆえかモロにレゲエな曲がなくて残念だが、Rがあきらかなダンスホール調のトラックを作るようになったのは、“Snake”などを含む前作『Chocolate Factory』の頃からだろうか。ただ、“Thoia Thoing”や“Outrageous”を聴いてもわかるように、それは単にインド歌謡もラテンもバングラもゴチャマゼにしたRなりの異国情緒感を形にしてみた結果なのでは?と疑いたくなる側面もある。一方で、R・ケリーのレゲエ・カヴァーは方々でよく聴けます。

SAM COOKE

  サム・クック好きのエイメンは、「R・ケリーの“If I Could Turn Back The Hands Of Time”を聴いて感銘を受けた」と話していた。彼の指摘するように、同曲はサム・クックの“You Send Me”を思わせるメロディー運びや、サム特有の声を裏返すシャウトを多用したドゥワップ風味のナンバーなのだ。ケリーといえばトラック面に注目が集まりがちだが、多くのソウル・ジャイアンツから唱法を伝承している点も重要。サム以外にもニュー・アルバムではマーヴィン・ゲイのような滑らかで訴求力のあるフロウも聴かせている。

VIDEO

  ビデオ……っても、もちろん例のビデオではなく、プロモ・クリップのこと。活動初期のエロ炸裂映像から、ソープ・オペラ路線、スピリチュアルなものまで楽しめる。近作で印象的なのは、ポジティヴで温かいパーティー・シーンを前面に出してスキャンダルに抗ってみせた“Ignition(Remix)”、カン違いな日本風セットが笑えた“Thoia Thoing”あたり。その歩みはこの(→)DVDで一望すべし。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2004年09月16日 13:00

更新: 2004年09月30日 18:32

ソース: 『bounce』 257号(2004/8/25)

文/出嶌 孝次