インタビュー

トラップ・ビーツの立役者、ショーティ・レッドはヤバイぜ!

 ジーズィの楽曲がヤバいのは、ギラついた中毒性の高いシンセ・ループと硬質なクラップが乱打されるドープなトラック……トラップ・ビーツやトラップ・ホップとも形容されるそのビートがやたらとカッコイイからでもある。『Let's Get It : Thug Motivation 101』でひときわロウな7曲をプロデュースし、その確立に貢献したのがアトランタをベースに活動するショーティ・レッドことデメトリアス・ステュワートだ。

 もともとゴスペルを基盤とする鍵盤奏者だった彼に注目が集まったのは、ドラマのヒット・アルバム『Causin' Drama』で全曲をプロデュースしたことだろう。特に“Left, Right, Left”のヒットはドラマを一発屋として記憶させると共に、音数を絞ったプログレッシヴなバウンス・ビートで話題となった。そのままDJタズや404ソルジャーズなどアトランタの地下アクトにビートを提供していった彼は、グッチ・メインの佳作『Trap House』にて表題曲など5曲をプロデュース。シンフォニックなトラップ・ビーツを世に知らしめた同作を経て、ジーズィのブレイクに貢献することとなったのだ。以降もメイシオやフィーンド、パスター・トロイなど新人~中堅どころと仕事を重ねているが、ジーズィの新作『The Inspiration』に提供した3曲の凶悪なループを聴くにつけ、もっと大舞台で大暴れしてもいい逸材だと思う。今後の躍進に期待したい。


404ソルジャーズの2004年作『All Out War』(Big Cat)

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掲載: 2007年02月08日 18:00

ソース: 『bounce』 283号(2006/12/25)

文/出嶌 孝次