8otto(2)
〈黒いヴァイブ〉と〈ハードコア〉
「毎回毎回レコーディングが全部終わってからアルバムの全体像が見えてくるんですよ。レコーディングのなかで生まれてくる感じですね。例えばbounceを読みながら〈プライマル(・スクリーム)ってこんなバンドに影響受けてんねや〉みたいなところから生まれたアイデアをみんなで持ち寄ったり、あらかじめリフなりメロディーなりを用意していったり、それをレコーディングのなかで練り上げていく感じですよね。例え出来たもんが全部ジャズみたいな音でも、俺たちが〈めっちゃロックしてるやん〉と思えばそれで良いんです。だから初めから青写真みたいなものはカッチリ描かずに、結果から全体が見えてくるというか。だからいつもレコーディングはメチャクチャになるんですけど、結果的にはイイ感じにまとまるんですよね、不思議と。でも何となくの(作品の)テーマは毎回手帳に書き殴っていて、今回は〈黒いヴァイブ〉と〈ハードコア〉って書いてあったんですよ。だから漠然とブラック・ミュージックを採り入れたいという思いはあったんでしょうね。ハードコアの要素はスピリチュアルな部分です。作っている最中は、〈今回がいちばんやかましいアルバムや!〉と思って作っていたんですけど、いままででいちばんムードのあるアルバムになった気がします」(マエノソノマサキ、ドラムス/ヴォーカル)。
8ottoならではの突進力のインパクトは大きいものの、祝祭感溢れるコーラスやネチッこいベースのウネリ、左右でダンスするギターの跳ね上がるグルーヴや“STONE FUNK”といった曲名に、マエノソノがイメージしていた〈黒いヴァイブ〉が表れているのかもしれない。しかしこういった変化もこれまでと同じように自然な成り行きのなかで生まれていったものだという。
「8ottoに入るまではブラック・ミュージックについて全然詳しくなかったんです。でも、メンバー間で好きなものを共有していくうちに、だんだんと興味を持つようになって。その部分が今回の演奏に出てきているのかもしれない。自分にとっては難しさもありつつ新鮮でしたね」(ヨシムラセイエイ、ギター)。
「黒さは意識してなかったですけど、最近ヒップホップを聴いていることが多いんですよ。逆にロックはあまり聴かなくなっていて。そこが反映されてきているところはあるかも。あとは恐らく、フル・アルバムも3枚目で余裕が出てきて、いろいろ試せるようになってきたんだと思います」(リョウ、ギター)。