インタビュー

8otto(3)

全員が自分にできることを考えた

 本作で見せた変化はそれだけに留まらない。各メンバーの意識の変化もこのアルバムにおいては重要な要素となっている。

「今回はリョウがいっぱい曲を書いてくれたんです。前まではだいたい僕がメロディーラインを書いていたんですけど、フル・アルバム2枚にミニ・アルバムを1枚出したら、もうアイデアがカツカツで(笑)。そしたらプロデューサーのヨシオカさんに〈全員で歌ってみろ〉って言われたんですよね。それが、今回コーラスが増えた理由かな。あと、曲自体もメンバー全員が書くようになって。それも大きいです」(マエノソノ)。

「前回までと違う部分といえば、今回も同じようにレコーディング合宿をしたんですが、5日間くらいの合宿を計3~4回繰り返したというところですかね。あとは、メンバー全員が自分にできることをより考えはじめたのが大きいと思う」(TORA、ベース)。

今回はこれまで以上に回数を重ねたという合宿レコーディング。そもそも合宿は彼らの定番のレコーディング・スタイルとなっているそうだが、そこまでその形にこだわる理由は?

「『we do viberation』の時なんかはNYまで寝袋を持っていったんですけど、寝床からスタジオまで18秒くらいで(笑)。みんなでずっといっしょにいて、いっしょにメシ食って、音楽やって、寝て、みたいな。そういうのが、僕たちの性に合っているみたいですね」(マエノソノ)。

「のめり込めますよね、気が散るものがないから。自然に音楽と向き合える。考えるものや行動がよりシンプルになっていく感覚があるから、あの合宿レコーディングが持つ意味は大きいと思う」(ヨシムラ)。

そんな濃い時間を経て出来上がった『HYPER,HYP8R,HYPER』。このアルバム・タイトルにはある意味これまでの気負いを捨て去ったかのような印象も漂う。そしてそのような変化に対して、前作までに得た支持層がどんなリアクションをするのかも興味深いところだ。

「良い意見でも悪い意見でも、いろいろ言われたほうが絶対に良いですからね。僕は好きなんですよ、このバカっぽい感じが(笑)」(TORA)。

「いままではタイトルで自分たちの意志表明みたいなものはしてきたんですよ。だけど今回はもっと楽しい感じで付けたろうと思ったんですね。で、最後に録った“HYPER,HYPER,HYPER”が想像以上にハイパーな感じになったんですよ。ぶっちゃけレコーディングするまではこの曲が嫌いだったのに録音してみたらすごく絶妙なバランスの曲になって、メンバーみんなでウルッとくるくらいの曲が出来たからアルバム・タイトルもこれで行こうと。この曲名は最初“HYPER”だったんですよ。でも“HYPER,HYPER”のほうがいいかなぁと思っていて、そしたらトシさんが〈なんてダサいタイトルをつけるんだ! “HYPER,HYPER,HYPER”にしろ!〉って(笑)。アルバム・タイトルのほうを〈HYP8R〉ってしたのもトシさんの意見で、意味はわかんないけどこういうのが〈ブルックリンぽい〉らしいです(笑)」(マエノソノ)。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2008年09月11日 01:00

更新: 2008年09月11日 17:42

ソース: 『bounce』 302号(2008/8/25)

文/冨田 明宏