インタビュー

TOWA TEI(2)

心の針が動く音楽

 ジャケットを飾るバリー・マッギーのイラストからサウンドの隅々まで、すべてが彼にとって刺激的なことばかりだったそうで、まさにこのアルバムはテイ・トウワにとっての〈BIG FUN〉が詰まった一枚なのだと言える。

「今回はこれまでになく楽しくレコーディングできたね。前作でも思ったけど情緒とかエモーション、音楽はそこが大事かなって改めて思った。閃きにしても、心の針が動くわけでしょ。言い替えればそれがないものはもう自分には必要ないって思う。“Mind Wall”って曲のエンディングで小山田くんがギターを弾いてくれたんだけど、聴いてるとグッとくるんだよね。何だか〈そろそろ90年代だぞ〉って頃の気持ちが蘇って。涙が一粒(笑)、落ちそうになる。そういうのを聴く人にも感じてもらえたら嬉しいよね」。

 あれれ!?  ちょっと待って。そういえばテイさんって、かつて自身のロボットをアーティスト写真にしてたくらい生身のイメージが薄いお方。何だか.〈らしくない〉お言葉のような気も……(笑)。

「いや、もう20年もロボットやってきたんで、路線変更しようと思って(笑)。でもさ、YMOってもう60歳前後なのに、いまだに新しくてカッコイイ音楽をやってるでしょ。で、その音を聴いてると〈テクノが枯れる〉って感じが新鮮なんだよね(笑)。そこをめざすわけでもないけど、自分も歳を取るなかで新たに感じたことをフレッシュな音に出来ればいいなって。何て言うんだろう……中年テクノ? これからはそれがいいんじゃないかって、自分のなかで思います(笑)」。

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掲載: 2009年03月05日 20:00

更新: 2009年03月05日 22:17

ソース: 『bounce』 307号(2009/2/25)

文/大野 智己、出嶌 孝次