インタビュー

OMD――英吉利の電気は永遠に夢を見る

 

 

シリアスなテーマを軽快なエレポップに乗せたことで物議を醸しながらも、世界的なヒットとなった“Enola Gay”でお馴染みのOMD(オーケストラル・マヌーヴァーズ・イン・ザ・ダーク)。クラフトワークに影響を受けたアンディ・マクラスキーとポール・ハンフリーズによって78年に結成されたこのユニットは、80年にファクトリーから“Electricity”でデビュー。当初はニューウェイヴ期らしいパンクの薫りを残したテクノ・ポップで、実験的な要素もあって好事家の支持を得ていた。80年代半ばからは彼らを特徴付ける憂いのあるメロディーとポップセンスに磨きがかかり、“So In Love”“Forever(Live And Die)”などチャートを賑わせるヒット曲が次々と誕生。サポート・メンバーの入れ替えも多々あったとはいえバンドは順調に機能していたが、89年にポールがグループを離れ、実質アンディのソロ・プロジェクト化。96年のアルバム『Universal』を最後に活動を一時休止した。そんな彼らが再脚光を浴びるまでには、アンディとポールのコンビが復活する2010年まで、時間を要することとなる。

さて3年ぶりとなるニュー・アルバム『English Electric』だが、彼ら特有の湿り気を帯びたメロディーをスケール感のあるエレクトロニック・サウンドで展開したOMD節は健在で、いまなおフレッシュさを失わないのは凄い。注目すべきは、カール・バルトスが率いたエレクトリック・ミュージックのカヴァー“Kissing The Machine”。原曲にはアンディが参加していたが、今度はお返しとばかりにカール本人が登場しているぞ!

 

▼関連作を紹介。

左から、OMDの2010年作『History Of Modern』(100%)、カール・バルトスのニュー・アルバム『Off The Record』(Bureau B)

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掲載: 2013年04月03日 17:58

更新: 2013年04月03日 17:58

ソース: bounce 353号(2013年3月25日発行)

文/青木正之