インタビュー

Ed Case(2)

みんな俺に目を付けてた

 彼は幼少からピアノ・レッスンを真面目に受けていたらしいが、時代はレイヴ全盛期。一枚のレコードをきっかけに、エドのマセガキ化は進んだ。

「リッチー・リッチの“South House”ってレコードを、レイヴに出かけた兄貴が買ってきたんだ。メチャメチャ盛り上がった曲だぜ!って。速攻ヤラれたよ――俺は宿題をやらなきゃいけないような年齢だったけど(笑)。そのうち週のほとんどをスタジオで過ごして、機材とかテクニカルなことを学んだりしたね。最初のレコードは“Edge Venture”ってドラムンベースの曲だった……16歳の時かな?全部自分でやったんだぜ。曲を作って、プレスの手配をして、車に積んで、ロンドン中のレコード屋を回って(笑)」。

 ドラムンベースを中心にしたDJ活動期には、グルーヴライダーともプレイしたそう。エリザベス・トロイとの交流もこの頃からだそうだ。そんな雌伏の時期を経て、エドは2ステップ/UKガラージのビートに邂逅する。

「ドラムンベースがあまり音楽的ではなくなってきたからね。俺はピアノをやってたからコード進行も気にするし、2ステップの音楽的なところやみんなが楽しんでる雰囲気に惹かれたんだ」。

 そして、MJコールやアートフル・ドジャー、ウーキーらの後塵を拝しながらリリースした“Something In Your Eyes”は、2ステップ・クラシックスのひとつに数えられ、いまも使い倒される名曲に――。ここまでなら数多のクリエイターとさほど変わりはないのだが、彼が手掛けたゴリラズ“Clint Eastwood”の2ステップ・ミックスを経て、エドは一気にメジャー契約へ。そのへんについても、「みんな長い間俺に目を付けてて、どう成長するか見てたんだと思うね」と自信を隠さない。あらゆる面で大物です。

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掲載: 2002年07月25日 12:00

更新: 2003年02月10日 15:06

ソース: 『bounce』 234号(2002/7/25)

文/高橋 玲子