インタビュー

リル・ウェインはベスト・ラッパーである

 T.I.~エイコン~リック・ロスらヤバイ連中だけがマイクを回すDJキャレドの“We Takin' Over”を皮切りに、ワイクリフ・ジョンの“Sweetest Girl(Dollar Bill)”、ロイドの“You”、ジャ・ルールの“Uh-Ohhh!”、プレイヤズ・サークルの“Duffle Bag Boy”……といった昨年のヒット群でいずれもマイクを握っているリル・ウェイン。そのようにチャートを賑わせた楽曲のみならず、カニエ・ウェストの“Barry Bonds”、ショップ・ボーイズ“Party Like A Rock Star(Remix)”やスウィズ・ビーツ“It's Me...Remix”などその露出は量も振り幅もハンパじゃない。そんなウェイン人気がリスナーのニーズに応えていることは間違いないが、その裏には同業者からの支持の厚さも作用しているのではないか。つまり、同じマイク持ちなら誰もがベスト・ラッパーと手合わせしてみたいと思って当然だろう、ということだ。フロウ・ライダーの“American Superstar”、カミリオネアの“Rock Star”、バン・Bの“Damn I'm Cold”など、ラップ巧者とされる面々との好コラボが近年増加しているのもそんな理由によるものなのかもしれない。この後にはゲームの新作にも登場するというウェインだが、“4 Corners”などで彼の才気に触れたバウ・ワウが俳優に専念したくなるのもよくわかる(失礼)。

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掲載: 2008年07月17日 23:00

ソース: 『bounce』 300号(2008/6/25)

文/出嶌 孝次